〜暮らしの落書き帳〜

引っ越しのエアコンは置いていっていい?|賃貸・持ち家・持っていく・処分の考え方

壁のエアコンと「置いていっていい?」の問い 生活トラブル

引っ越しのとき、自分で付けたエアコンを外すか、置いていくかで迷う人は多いです。外すにも工事が要り、新居に合うとも限りません。この記事では、賃貸・持ち家それぞれで置いていってよいかの考え方と、持っていく場合・処分する場合の進め方を、国や公的機関の情報をもとにまとめます。

先に結論:自分で付けたエアコンを置いていくなら、必ず先に相手の了解を取ります。賃貸なら管理会社や大家さん、持ち家を売るなら買主です。了解が取れなければ、取り外して持っていくか、処分します。エアコンは家電リサイクル法の対象なので、粗大ごみには出せず、販売店などに引き取りを頼みます。

エアコンの持ち主ごとの扱い方。入居時から付いていた・自分で付けた・前の入居者・持ち家を売る

まず確かめること:そのエアコンは誰のもの?

最初に、エアコンが誰のものかをはっきりさせます。ここで扱いがまったく変わります。

状況エアコンの持ち主基本の考え方
賃貸で、入居時から付いていた大家さん(貸主)部屋の設備なので、そのまま置いていく。外さない
賃貸で、自分で買って付けた自分(借主)外して持っていくか処分する。置いていくなら管理会社や大家さんと合意する
前の入居者が置いていった(残置物)契約によって違う契約書や重要事項説明書で「設備」か「残置物」かを確かめ、管理会社に聞く
持ち家を売る自分(売主)置いていくか外すかを買主と決め、書面に残す

賃貸で前の人が置いていったエアコンは、設備として扱われる場合と、「残置物(ざんちぶつ。前の住人が残していった物)」として扱われる場合があります。どちらかで、故障したときの扱いが変わることがあります。分からなければ、管理会社に聞くのが確実です。

なお、大家さんが持ち主の備え付けエアコンを処分するときは、大家さんが家電リサイクル法の「排出者」になると、経済産業省と環境省の資料に書かれています。

出典:環境省・経済産業省「賃貸住宅オーナーの皆様へ 家庭用エアコンは家電リサイクル法の対象です!」

賃貸で自分で付けたエアコンを置いていきたいとき

原状回復の考え方

賃貸の部屋を出るときは「原状回復(げんじょうかいふく)」が求められます。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、原状回復を「借りた人の住み方・使い方によって生じた損耗や傷を元に戻すこと」と整理しています。ふつうに暮らして生じた傷みや年数による劣化は、借りた人の負担ではないとされています。

エアコンについて、ガイドラインには次のような整理があります。

  • 借りた人が自分のエアコンを付けたことで生じたビス穴などは、通常の損耗と考えられる(貸した人の負担)
  • 借りた人のエアコンの手入れは借りた人が行うもの。水漏れを放っておいて壁が腐った場合などは、借りた人の負担になることが多い

ただし、ガイドラインは目安です。契約書に特約がある場合は、その内容も関わります。ガイドラインでは、借りた人に特別な負担を求める特約が有効になるには、必要性と合理的な理由があること、借りた人が内容を理解して同意していることなどが必要だとしています。まず契約書を読み直しましょう。

置いていくなら、先に合意を取る

自分のエアコンを置いていくのは、管理会社や大家さんが了解した場合だけにします。大家さんにとっては、次の入居者のために残してほしい場合もあれば、古い機種なら撤去してほしい場合もあります。黙って残していくと、あとで撤去や処分の費用をめぐって話がこじれるおそれがあります。

  1. 退去の連絡をするときに、「自分で付けたエアコンがある」と伝える
  2. 置いていってよいか、外す必要があるかを聞く
  3. 置いていく場合は、無償で譲るのか、今後の故障や処分は誰が持つのかを確かめる
  4. 決まったことはメールなど、あとで見返せる形で残す
  5. 退去の立ち会いのときにも、もう一度確かめる

国民生活センターによると、賃貸住宅に関する相談は2025年度に14,711件寄せられています(PIO-NETに登録された件数)。相談事例には、退去のあとで修繕の費用を請求されて納得できないというものが挙げられています。口約束で済ませず、記録を残すことが身を守ることにつながります。困ったときは、消費生活センターに相談できます。

出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」、国土交通省「『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』に関する参考資料」、国民生活センター「賃貸住宅の原状回復トラブル」

持ち家を売る場合:買主と決めて書面に残す

持ち家を売って引っ越す場合、エアコンを置いていくかどうかは、買主との取り決めで決まります。不動産の売買では、売主から「付帯設備(ふたいせつび)」の一覧や、その状態を書いた書類が渡されることが多いです。付帯設備とは、給湯器や照明、エアコンなど、建物に付いている設備のことです。

  • 置いていくエアコンと、外して持っていくエアコンを部屋ごとに分ける
  • 置いていくものは、動くか、故障や不具合がないかを書く
  • 付帯設備の一覧(付帯設備表)に正しく書き、仲介の不動産会社に確かめてもらう
  • 買主が「いらない」と言ったら、引き渡しまでに外す

書類に書いた内容と実際が違うと、引き渡しのあとでもめる原因になります。古くて調子の悪いエアコンを置いていく場合は、そのことも正直に書いておきましょう。

出典:三菱地所の住まいリレー「付帯設備|不動産用語集」

新居に持っていく場合:取り外しと取り付けは専門の業者に

エアコンを持っていくには、今の家での取り外し工事と、新居での取り付け工事の両方が必要です。日立のルームエアコンの取扱説明書には、「お客様自身で据付工事・移設はしない」と書かれており、不備があると水漏れや感電、火災の原因になるとして、販売店か専門業者に頼むよう案内しています。

取り外しのときは、配管の中の冷媒(れいばい。部屋の熱を運ぶガス)を室外機に集めてから配管を外す「ポンプダウン」という作業を行います。冷媒を扱う作業なので、自分で配管を外すのはやめましょう。

費用の考え方

移設の費用は、業者や地域、条件で大きく変わります。次のような点で上がることがあるので、見積もりで内訳を確かめます。

  • 取り外しと取り付けが別料金かどうか
  • 配管(室内機と室外機をつなぐ管)を新しくするか、長さが足りるか
  • 室外機の置き場所(ベランダ、屋根の上、壁に金具で付けるなど)
  • 新居にエアコン用のコンセントや配管の穴があるか

古いエアコンの場合、移設の費用をかけるより、新居で新しく買って付けるほうが合うこともあります。新居の部屋の広さに合うか、今のエアコンの年数はどれくらいかもあわせて考えましょう。引越し業者に頼む場合は、見積もりのときに、エアコンの工事が含まれるか、別料金かを確かめておくと安心です。

出典:日立「ルームエアコン 取扱説明書(RAS-KW2226Sほか)」、環境省「一台当たり回収率低下要因に関するヒアリング結果(参考資料3)」

処分する場合:家電リサイクル法の手続きで

エアコンは、テレビ・冷蔵庫(冷凍庫)・洗濯機(衣類乾燥機)とあわせて、家電リサイクル法の対象です。市町村の粗大ごみには出せません。たとえば札幌市は、これらの4品目を「市では、収集しません」と明記しています。

経済産業省と環境省の資料では、引き取りを頼む先は次のとおりです。

状況頼む先
新しいエアコンに買い替える新しいエアコンを買う店
処分するエアコンを買った店が分かるそのエアコンを買った店
上のどちらでもない住んでいる市町村に相談する
  • 処分には「リサイクル料金」と「収集運搬料金」がかかる
  • 引き取ってもらったら、原則として家電リサイクル券の「排出者控」を受け取る
  • 引っ越しの直前に頼んでも対応できないことがあるので、余裕をもって申し込む
  • 許可のない回収業者は使わない

エアコンは取り外し工事が必要なので、引き取りと取り外しを一緒に頼めるかも店に確かめましょう。家電の販売をしていない不用品回収業者による回収は違法だと、札幌市は注意を呼びかけています。

出典:経済産業省・環境省「家電4品目の処分について(引越し時)」、札幌市「テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコンリサイクル」

決める順番:退去の連絡と一緒に動き出す

エアコンは、取り外しにも処分にも工事や予約が要ります。引っ越しの直前に決めようとすると、工事の日が取れなかったり、引き取りの申し込みが間に合わなかったりします。次の順で早めに動くと、慌てずに済みます。

  1. 引っ越しが決まったら、エアコンが誰のものかを確かめる(契約書・重要事項説明書・購入時の記録)
  2. 賃貸なら退去の連絡と一緒に、持ち家を売るなら売買の話を進める中で、置いていけるかを相手に聞く
  3. 置いていけない場合は、持っていくか処分するかを決める。新居の部屋の広さや、今のエアコンの年数も考える
  4. 持っていくなら、取り外しと取り付けの工事を予約する。新居にエアコン用のコンセントや配管の穴があるかも確かめる
  5. 処分するなら、販売店などに引き取りと取り外しを申し込む。排出者控を受け取って保管する
  6. 退去の立ち会いや引き渡しのときに、決めたとおりになっているかを確かめる

取り外したあとの室外機の置き台や配管の穴の扱いも、賃貸なら管理会社に、売る家なら買主に確かめておくと、あとで行き違いが起きにくくなります。

残していくか持っていくかに関係なく、引っ越しの前後にエアコンのクリーニングを頼む場合は、見積もりで確かめておく項目があります。「エアコンクリーニング業者に頼む前の注意点|見積もりで確かめる12項目」で12項目にまとめています。

まとめ

  • 入居時から付いていたエアコンは大家さんのもの。外さずに置いていく
  • 自分で付けたエアコンを置いていくなら、管理会社や大家さんと合意し、記録を残す
  • 持ち家を売るなら、買主と決めて付帯設備の書類に書く
  • 持っていくなら、取り外しと取り付けは専門の業者に。費用は条件で変わるので見積もりで確かめる
  • 処分するなら家電リサイクル法の手続きで。粗大ごみには出せない

関連記事

▶ 引っ越しの不用品はいつまでに・どう処分する(エアコンなど家電の処分の進め方)

▶ 引越し見積書を比較する方法|追加料金・キャンセル料・荷物破損の確認点(エアコン工事の料金を確かめるときに)

▶ 訪問なしで引っ越しの見積もりを取る(見積もりの取り方)

▶ 引っ越しでやること・手続きの順番(全体の流れはこちら)

⚡ いま読まれているトレンド

→ トレンド記事をもっと見る

コメント

タイトルとURLをコピーしました