〜暮らしの落書き帳〜

実家の片付けは何から?|捨てる前に探す物、売れる物の見分け方、買取・遺品整理業者で失敗しない確認点

積んだ段ボールといす 生活トラブル

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親が施設に入った、亡くなった、実家を売ることになった。理由はさまざまでも、実家の片付けはたいてい「どこから手をつければいいか分からない」ところから始まります。何十年分の物が詰まった家を前にすると、とりあえず目についた物から捨て始めてしまいがちですが、それが後で困る原因になることもあります。

この記事では、実家の物を「探す・残す・売る・処分する・業者に頼む」の順に分ける進め方と、買取業者や遺品整理業者を使うときに知っておきたいルールを、国民生活センターや消費者庁、経済産業省などの公的な情報をもとにまとめます。

この記事の結論

  1. 捨てる前に、まず通帳・権利証・保険証券・スマホなどの「探す物」を見つける。見つかるまでは処分しない
  2. 親が亡くなったあとで相続放棄を考えているなら、物を売ったり捨てたりしない。財産の処分は相続を認めたものとみなされることがある
  3. 着物・切手・古銭・骨董などは、処分する前に複数の買取業者で査定を取る。自宅に来てもらう出張買取には、8日間のクーリング・オフがある
  4. エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機は粗大ごみでは出せない。許可のない回収業者には渡さない。遺品整理業者は複数社の見積もりを比べる

1.始める前に確認する2つのこと

その物は、いま誰の物か

親が元気で施設に移るだけなら、家の物は親の物です。売るか捨てるかは親に決めてもらい、子どもは作業を手伝う立場になります。「どうせ使わないだろう」と勝手に処分すると、あとで「あれはどこへやった」ともめる原因になるので、少なくとも大事そうな物は親に確認してから動かしましょう。

親が亡くなったあとの片付けは、遺品は相続人全員の物になります。兄弟姉妹がいるなら、形見分けをどうするか、売れた物のお金をどう分けるかを先に話しておくと、片付けのあとでもめずに済みます。

相続放棄を考えているなら、物に手をつけない

親に借金があるなどの理由で相続放棄を考えている場合は、特に注意が必要です。民法では、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、相続を認めた(単純承認した)ものとみなすと定めています。価値のある物を売ったり捨てたりすると、あとから相続放棄ができなくなるおそれがあります。

相続放棄は、自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内に、亡くなった人の最後の住所地の家庭裁判所に申し立てる必要があります。迷っている場合は、片付けを始める前に弁護士や司法書士などの専門家に相談してください。

「とりあえず全部捨てる」は避ける

業者にまとめて処分を頼むと、通帳や契約書、現金が物と一緒に運び出されてしまうことがあります。国民生活センターにも、残しておくはずの物を誤って処分されたという相談が寄せられています。まず次の「探す物」を見つけてから、捨てる作業に入りましょう。

2.片付けは「探す→残す→売る→処分」の順で

作業の順番は、戻せない作業をできるだけ後ろに回すのが基本です。捨てた物は取り戻せませんが、残しておいた物はあとからでも捨てられます。全体の流れは次の図のとおりです。

実家の片付けの順番。1探す(通帳・権利証・印鑑・スマホ)、2残す(写真・形見)、3売る(着物・切手・骨董)、4処分(粗大ごみ・家電4品目)、5業者(見積もり比較)
実家の片付けの順番(戻せない作業ほど後ろに)

最初に探しておく物

次の物は、相続や契約の解約、各種の手続きに必要になります。引き出しや仏壇、押し入れの箱など、しまってありそうな場所から先に探し、見つけた物は1つの箱にまとめて保管しておきます。

  • お金に関わる物:預金通帳、キャッシュカード、証券会社や保険会社からの郵便物、保険証券、年金の書類
  • 家や土地に関わる物:登記識別情報(権利証)、固定資産税の納税通知書、賃貸なら賃貸借契約書
  • 印鑑・身分証:実印・銀行印、マイナンバーカード、健康保険証、運転免許証
  • スマホ・パソコン:ネット銀行や有料サービスの手がかりが入っていることが多い。電源を切らず、充電器と一緒に保管する
  • 契約の手がかり:公共料金や携帯電話の請求書、クレジットカードの明細。毎月の引き落としを止める手続きに使う
  • 現金・貴金属:タンスの奥や本の間、封筒の中に入っていることがある

スマホやパソコンの中身の扱いは家族が亡くなったときのスマホ・パソコン・ネット契約の整理で、携帯電話の解約は故人の携帯電話の解約と承継で詳しく説明しています。

残す物を決める

次に、家族が手元に残したい物を決めます。写真や手紙、日記は、量が多いと全部は持ち帰れません。スマホで撮影したりスキャンしたりしてデータで残し、原本は数を絞るという方法もあります。データにした写真の保存先は家族の写真・データはどこに保存する?を参考にしてください。形見分けをする物は、この段階で分けて別の部屋に移しておくと、あとの作業で間違って処分されません。

3.売れる物を見分ける

実家には、家族にとっては古い物でも、買取の対象になる物が残っていることがあります。捨てる前に、次のような物がないか見ておきましょう。値段は状態や種類によって大きく違うので、「高く売れるはず」と決めつけず、査定を取って確かめるのが確実です。

物確かめておくと査定で役立つもの
着物・帯反物の端に付いている「証紙」(産地や織元を示す紙)、たとう紙、未着用かどうか
切手・はがきシートのままか、バラか。使用済みか未使用か。記念切手のアルバム
古銭・記念硬貨ケースや証明書が残っているか。記念硬貨は発行時の袋・ケースごと
骨董・掛け軸・茶道具作品を入れた「共箱」、作者の署名、鑑定書や購入時の領収書
人形ケース、作家名の札、付属品がそろっているか
レコード・楽器・カメラレコードは帯と歌詞カード、楽器・カメラは付属品と動作するか
家電(10年より新しい物)箱・取扱説明書・付属品、製造年、動作するか。※エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機の4品目は、売れないときは家電リサイクル法の対象(4章)
家具(ブランド家具・無垢材)メーカー名・型番の記載、傷と汚れの状態、分解できるか
貴金属・ブランド品刻印(K18・Pt900など)、保証書・鑑定書・購入時の箱、重さがわかるもの
本・CD・DVD全巻そろっているか、帯・初回限定の付属品、バーコードの有無
食器・調理器具未使用で箱に入っているか、ブランドの刻印、セットでそろっているか
仏壇・仏具供養が必要かどうかを先に確認。金属製の仏具は素材がわかるもの

箱や証紙、付属品は、中身と一緒に保管しておきます。片付けの途中で「空き箱だから」と捨ててしまうと、査定の手がかりがなくなります。着物と切手は確かめ方が細かいので、実家の着物・切手の価値の調べ方と手放し方にまとめています。

人形は、ケースや作家名の札がそろっていると値段がつくことがあります。日本人形・西洋人形の買取を扱う業者もあるので、処分する前に査定を頼む方法もあります。

日本人形・西洋人形買取致します【COYASH】

出張買取(訪問購入)のルール

着物や家具など量が多い物は、業者に自宅へ来てもらう出張買取が便利です。この「訪問購入」には特定商取引法のルールがあり、売る側を守る仕組みが決まっています。消費者庁の特定商取引法ガイドでは、主に次の点が説明されています。

  • 頼んでいない勧誘は禁止:自分から依頼していない人の自宅で、業者が買取を勧誘することは禁じられています。突然訪ねてきて「不用品はありませんか」と言う業者は相手にしない
  • 書面の交付:業者は契約時に、品目、買取価格、代金の支払時期、クーリング・オフの説明などを書いた書面を渡す義務があります
  • 8日間のクーリング・オフ:書面を受け取った日から8日以内なら、書面(はがき可)や電子メールなどで契約を取り消せます
  • 品物の引き渡しを拒める:クーリング・オフの期間中は、売った物の引き渡しを断ることができます

「今日決めてくれればこの値段」と急がされても、その場で決める必要はありません。1社目の査定額はメモしておき、ほかの業者の査定と比べてから決めましょう。

4.処分は自治体のルールで

売れない物、残さない物は処分します。ふつうのごみと粗大ごみは、実家のある市区町村のルールに従って出します。粗大ごみは申し込み制で、収集日が数週間先になることもあるので、片付けの日程が決まったら早めに予約しておきましょう。

家電4品目は粗大ごみで出せない

家電は、まず3章の表で売れるかどうかを見てから、売れない物をこの手順で処分します。

エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4品目は、家電リサイクル法の対象で、粗大ごみとしては出せません。経済産業省の案内では、買い替えるなら新しい製品を買う店に、処分するだけなら購入した店に引き取りを頼み、購入した店が分からない場合は市区町村が案内する方法で処分します。費用は、リサイクル料金と収集運搬料金を処分する側が負担します。

同じ案内で、市区町村の許可を確認できない不用品回収業者には、この4品目を渡さないよう呼びかけられています。「無料で回収します」と軽トラックで回っている業者に頼むと、あとで高額な料金を請求されたり、不法投棄されたりするおそれがあります。

物の種類別の行き先の目安。売る物は買取業者、譲る物は家族、家電4品目は購入店や市区町村、ふつうのごみは自治体のルール。許可のない無料回収業者には渡さない
物の種類別・行き先の目安

5.遺品整理業者に頼むときの確認点

量が多い、遠方で何度も通えない、期限までに家を明け渡さなければならない、といった場合は、遺品整理業者や片付け業者に頼むことになります。国民生活センターには、遺品整理サービスについて次のような相談が寄せられています。

  • 見積もりに来た当日に、契約を急かされた
  • 契約を取り消したら、高額なキャンセル料を請求された
  • 作業の当日になって、見積もりにない追加料金を請求された(見積額の2倍になった例も)
  • 残しておくはずだった物を処分された

国民生活センターは、こうしたトラブルを防ぐために、複数の事業者から見積もりを取って慎重に選ぶこと、見積書の内容を十分に確認すること、料金やキャンセル料、具体的な作業内容を事前に確認すること、残す物と処分する物をはっきり分けておくことを勧めています。見積書の見比べ方は遺品整理の見積を比較する方法で、追加料金や買取額の確認点を項目ごとに整理しています。

見積もりのときに聞いておくこと

  1. 見積もりの金額に、何が含まれているか(運び出し、処分費、清掃、車両・人数)
  2. 当日に追加料金がかかるのは、どんな場合か
  3. キャンセルしたときの料金はいくらか、いつから発生するか
  4. 家電4品目や買取できる物をどう扱うか(買取があるなら、その金額を見積もりから差し引くのか)
  5. 作業の立ち会いは必要か、作業後の確認はどうするか

口頭の説明だけで決めず、答えが見積書や契約書に書かれているかを確かめましょう。トラブルになったときや判断に迷うときは、消費者ホットライン「188」に電話すると、近くの消費生活センターなどの相談窓口につないでもらえます(相談は無料、通話料はかかります)。

自分でやる部分と、業者に任せる部分を分ける

業者に頼む場合も、すべてを任せる必要はありません。「探す物」を見つける作業と、残す物・売る物を分ける作業は、家族が自分でやるのが確実です。どの引き出しに何が入っていたかを知っているのは家族だけで、業者には判断できないからです。そのうえで、重い家具の運び出しや大量のごみの処分、最後の清掃だけを業者に頼めば、作業量が減るぶん見積もりも小さくなりやすく、誤って処分される心配も減ります。

売れる物は、遺品整理業者の買取に任せるより、先に買取専門の業者で査定を取っておくと、金額を比べる材料になります。業者が来る日までに、残す物は別の部屋に移すか、「持ち出し禁止」と書いた紙を貼って目印にしておきましょう。

空き家になる実家で気をつけること

片付けのあとも実家をしばらく空き家にするなら、郵便物の転送、ガス・水道の停止か継続かの判断、戸締まりと合い鍵の管理も決めておきます。鍵をなくしたときや交換を考えるときは鍵のトラブル対処法も参考にしてください。親がまだ実家で暮らしている段階なら、離れて暮らす親の見守り方で、見守りの方法と相談先をまとめています。

次に読むならこの1本家族が亡くなったときのスマホ・パソコン・ネット契約の整理実家で見つけたスマホやパソコンの中身、ネット銀行やサブスクの止め方を、手をつける順番でまとめています。

よくある質問

Q.片付けにはどれくらいの期間を見ておけばいいですか?

物の量や手伝える人数、実家までの距離で大きく変わります。自分たちで進めるなら、「探す物」を見つけるだけで数回の帰省がかかることも珍しくありません。家の明け渡しや売却の期限がある場合は、そこから逆算して、粗大ごみの予約や業者の見積もりを早めに入れておきましょう。

Q.親が亡くなってすぐに片付けてもいいですか?

相続放棄をする可能性がないなら、片付けを始めること自体は問題ありません。ただ、通帳や契約書、遺言書が出てくることもあるので、まずは「探す物」の作業から始め、売ったり捨てたりするのは相続人どうしで話がまとまってからにするのが無難です。相続放棄を考えているなら、財産を処分しないようにし、先に専門家に相談してください。

Q.突然「着物や貴金属を買い取ります」と電話や訪問がありました。

特定商取引法では、依頼していない人の自宅で業者が買取を勧誘することは禁じられています。その場で家に上げたり品物を見せたりせず、はっきり断りましょう。困ったときは消費者ホットライン188に相談できます。

Q.古い冷蔵庫やテレビは、遺品整理業者にまとめて頼めますか?

頼めますが、家電4品目を引き取れるのは、市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可を持つ業者か、市区町村の委託を受けた業者です。見積もりのときに、家電4品目をどう処分するのか、リサイクル料金はいくらかかるのかを確認してください。

Q.買取の査定額に納得できないときは?

その場で売る必要はありません。査定額と品目を書き留めて、別の業者にも査定を頼んで比べましょう。出張買取で契約してしまった場合でも、書面を受け取った日から8日以内ならクーリング・オフができ、その間は品物の引き渡しを断れます。

Q.兄弟姉妹で意見が合わないときは?

まず「探す物」と「残す物」の作業だけを一緒に進め、売る・捨てるの判断は後回しにすると、対立する場面を減らせます。売れた物の代金や形見分けの分け方は、メモに残して全員に共有しておくと、あとで「聞いていない」ということになりにくくなります。

片付けと並行して、相続の手続きには期限のあるものがあります(相続放棄は原則3か月、相続登記は3年など)。実家を相続したときに期限の早い順にやることは「実家の相続手続き、期限の順番は?3か月から3年・空き家売却まで」にまとめています。

参考情報・出典

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