〜暮らしの落書き帳〜

家族が亡くなったときのスマホ・パソコン・ネット契約の整理|iPhone・Android・パソコン別の手続きと解約の順番

古い写真アルバムの写真に「家族が亡くなったあとのスマホ・パソコン・契約」と書かれたアイキャッチ 生活トラブル

親や配偶者が亡くなったあと、残された iPhone や Android、パソコンが開けない。通帳を見ると、毎月の引き落としだけが続いている——。国民生活センターは2024年11月20日、こうした「デジタル遺品」の相談事例を公表しました。遺族が契約の確認や解約をしたくても、IDやパスワードの手がかりがないために困るケースが並んでいます。

この記事は、スマホとパソコンと契約をどの順番で片付ければいいのかを1本で案内します。Apple・Google・Microsoft が遺族に何をしてくれるのかを表にし、引き落としを止める順番を図にし、最後に時系列のチェックリストを置きました。

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最初の1週間は「開けること」より「止めること」を先に

多くの方が最初にやろうとするのは、故人のスマホのロック解除です。気持ちは分かりますが、ここに時間をかけるほど損をします。ほとんど成功しないうえ、開かない間もお金は出ていき続けるからです。

国民生活センターは相談事例の特徴として「故人のスマホやパソコン等のパスワードがわからない場合、第三者がロック解除することは困難」と明記しています。実際、携帯電話会社の店舗で「初期化はできるが、画面ロックの解除はできない」と言われた相談があります(2024年2月受付・60歳代男性)。Apple も「デバイスを消去しない限り、Appleではパスコードの解除をお手伝いすることができません」と書いています。

一方で「サブスクの契約は、契約者本人が亡くなったとしても、解約手続きを行わない限り、請求が続きます」「契約者が死亡していたとしても、事業者はその事実を知る手段がありません」。向こうから止めてはくれません。

最初の1週間でやってはいけない4つのこと

  1. パスコードを当てずっぽうで入れ続ける。iPhone や iPad は何度も間違えると「[デバイス]は使用できません」「セキュリティロックアウト」の画面になります。Apple がここからの復帰方法として案内しているのは端末のリセットだけで、「データと設定がすべて完全に削除されます」。心当たりを2〜3回試して違ったら、手を止めてください。
  2. 「とりあえず初期化」してしまう。契約先を突き止める手がかり(アプリ、契約確認のメール、購入履歴)がまとめて消えます。端末を使い直すのは、契約の洗い出しが終わってからで間に合います。
  3. 水没・落下した端末に通電する、自分で分解する。電源を入れる操作そのものが状態を悪くします。この場合だけは、先にデータ復旧業者へ相談するかを決めます。
  4. 故人のIDでログインし直す、パスワードをリセットする。多くのサービスで規約違反になり、凍結されると遺族としての正式な申請まで通りにくくなります。

メーカーは何をしてくれて、何をしてくれないのか

Apple・Google・Microsoftの遺族対応を比べた表。生前に指定しておける機能はAppleが故人アカウント管理連絡先、Googleがアカウント無効化管理ツール、Microsoftはなし。日本では戸籍謄本が求められ、3社ともパスワードは教えない。
遺族から見た3社の違い。出典は各社の公式サポートページ(2026年9月25日確認)。

3社に共通するのは「パスワードは渡さない」という一点です。Google は「パスワードや他のログイン情報をお伝えすることはできません」と明言し、Microsoft も「アカウント保有者以外の方へ情報を提供することは通常できません」としています。

分かれるのはその先です。Apple と Google には、本人が生前に「亡くなったらこの人に渡す」と指定しておける仕組みがあり、Microsoft にはそれに当たる案内がありません。最初にやるのは、故人がその設定をしていなかったかを確かめることです。されていなければ「中身は諦めて、契約だけ止める」方針に切り替えます。自分の分を今のうちに設定しておく手順は今のうちにやるデジタル終活にまとめています。

iPhone・iPadの場合|「故人アカウント管理連絡先」の有無で道が分かれる

Apple の仕組みは「故人アカウント管理連絡先」です。本人が iOS 15.2/macOS Monterey 12.1 以降で指定すると、指定された人(13歳以上)が「アクセスキー」を受け取ります。

アクセスキーが手元にある場合

アクセスキーは、iMessage で受け取って承諾していれば自分の Apple Account 設定に保管されています。自分の iPhone で「設定」→「[自分の名前]」→「サインインとセキュリティ」→「故人アカウント管理連絡先」を開き、故人の名前が入っていないか見てください。

申請は Apple の「デジタル遺産」ウェブサイト(digital-legacy.apple.com)で行います。必要なのはアクセスキーと死亡証明書ですが、Apple は「日本の場合は死亡証明書ではなく、アカウント所有者の死亡の記載がある戸籍謄本が必要です」としています。死亡診断書のコピーでは通らない恐れがあります。

管理連絡先は複数名を指定でき、Apple は「故人アカウント管理連絡先は誰でも、故人のアカウントデータについて、たとえば完全に削除するなどの決断を下すことができます」としています。1人の操作で写真がすべて消え得るので、誰が何をするかを先に話し合ってください。

アクセスキーがない場合

道はかなり狭くなります。Apple が案内しているのは、アカウントとデータの完全削除を申請するか、裁判所命令などの法的書類を用意してアクセスを申請するかの2つです。後者は「米国、イスラエル、その他の地域」向けですが、Apple は「フランス、ドイツ、日本、オーストラリア、ニュージーランドなど、一部の法域では、裁判所命令の代わりとなる書類や手続きが認められています」とも書いています。何が要るかは案件によるため、Apple サポートへの問い合わせが必要です。申請できるのは1人だけです。

受け取れるデータと、受け取れないデータ

承認されると、写真、メッセージ、メモ、ファイル、デバイスのバックアップなどにアクセスできます。一方で Apple は、購入された映画・音楽・ブック・サブスクリプションと、iCloud キーチェーンのお支払い情報・パスワード・パスキーにはアクセスできないと明記しています。パスワード一覧は手に入らないので、これを当てにして解約を後回しにしないでください。

なお、アクセス申請または削除申請が承認されると、端末のアクティベーションロックは自動的に解除されます。裏を返せば、それまで端末は再利用できません。

Androidの場合|端末より先にGoogleアカウントを見る

Android は端末のロック解除より Google アカウントの話が先です。写真もメールも連絡先もアカウント側にあるため、端末が開かなくても中身は残っています。事前設定の仕組みは「アカウント無効化管理ツール」で、アカウントが一定期間使われないと、指定した相手(10人まで)へメールが届き、データをダウンロードするリンクが付きます。

大事なのは、設定した時点では相手に何も知らされない点です。Google は「連絡先に通知が送られるのは、アカウントが指定の期間利用されない状態が続いた場合のみです。設定時には通知は一切送られません」と書いています。つまり指定されていても今は気づきようがありません。しばらく経ってから Google 名義の見慣れないメールが届いたら、それがこの通知です。迷惑メールフォルダも含め、家族それぞれの受信箱を確認してください。

事前設定がなければ、Google へ個別にリクエストします。受け付けているのは「アカウントを閉鎖する」「資金を取得する」「データを取得する」の3つですが、「慎重な審査のうえ決定されます」とされ、必ず応じてもらえるわけではありません。

パソコンの場合|ログインを試す前に「暗号化されているか」を確かめる

Windows は、サインイン画面に出ているのがメールアドレスかどうかを最初に見ます。メールアドレスなら Microsoft アカウント、ユーザー名だけならローカルアカウントです。ディスクの暗号化がこれに連動しています。

Microsoft は「Microsoft アカウント……を使用してデバイスに初めてサインインまたは設定すると、Device Encryption が有効になり、そのアカウントに回復キーがアタッチされます。ローカル アカウントを使用している場合、Device Encryption は自動的にオンになりません」と説明しています。つまり Microsoft アカウントで設定された Windows 機は、ディスクを取り出して別のパソコンにつないでも読めません。

BitLocker 回復キーの保存先として案内されているのは、Microsoft アカウント(aka.ms/myrecoverykey)、職場または学校アカウント(aka.ms/aadrecoverykey)、プリントアウト、USB フラッシュドライブの4か所です。1つ目は故人のアカウントにサインインできないと入れないので、取扱説明書の箱や金庫、通帳と一緒の封筒も探してください。

Mac は、ログインウインドウでパスワードを最大3回入力すると「パスワードをリセット」などの案内が出ることがあります。従うと、故人の Apple Account でのサインインか、FileVault の復旧キーの入力を求められます。この復旧キーは24文字の英数字コードで、Apple Account の復旧キーとは別物です。Apple によれば「I」「S」「1」「0」は含まれないので、メモを探すときの目印になります。

毎月の引き落としを止める順番

引き落としを止める順番の流れ図。1請求の出どころを3か所から書き出す、2契約先ごとに遺族から解約を申し出る、3携帯回線は承継か解約かを決める、4最後にカードと口座を止める。
順番を逆にすると、請求だけが残って出どころが分からなくなります。

結論は、洗い出し → 個別の解約 → 携帯回線 → カード・口座の順です。カードを先に止めたくなりますが、それをやると請求が消えるのではなく、請求元が分からなくなります。

国民生活センターに寄せられた相談が典型です。夫を亡くした女性が携帯電話を解約したあと、カードの明細に約1,000円の不明な請求を見つけました。カード会社は「スマホのセキュリティのサブスクではないか」、携帯会社でようやく請求元が判明、ところが事業者からは「すぐに解約するためにはIDとパスワードが必要だ」——という流れです(2024年7月受付・80歳代女性)。携帯を先に解約したために、手がかりがカード明細の1行だけになっていました。

ステップ1|請求の出どころを3か所から洗い出す

  • カードの利用明細と口座の入出金明細。年払いがあるので直近12か月分をさかのぼります
  • App Store と Google Play の購入履歴・サブスク一覧(端末が開ける場合)
  • メール。「ご請求」「領収」「更新のお知らせ」「自動更新」で検索します

この段階でやるのは金額と契約先の名前を書き出すことだけで、解約はまだしません。証券口座の有無が分からなければ、証券保管振替機構(ほふり)の「登録済加入者情報の開示請求」で、株式等の口座がどの証券会社・信託銀行に開設されているかを有料で確認できます。相続人からの請求は1件6,050円、法務局発行の法定相続情報一覧図のコピーを出せば4,950円(いずれも税込)ですが、2026年10月1日以降の消印分から順に7,700円・6,050円へ上がります。受付は郵送のみで、書類に不備がなくても結果が届くまで2か月ほどかかり、調べた結果が「該当なし」でも費用はかかります。

ステップ2|IDとパスワードがなくても解約できることがある

国民生活センターは「ID・パスワードがわからない場合でも、契約先事業者が特定できれば、遺族から連絡することで、解約等に応じてもらえるケースが多くみられます」と書いています。諦める前に、事業者の窓口へ電話して「契約者が亡くなったので解約したい」と伝えてください。求められるのは、たいてい契約者の氏名と生年月日、登録されていた連絡先、死亡が確認できる書類です。

ステップ3|携帯回線は「承継」か「解約」かを決める

番号やキャリアメールを引き継ぐ「承継」と、引き継がない「解約」があります。承継しておけば番号宛の認証コードや請求通知を受け取り続けられるので、他の契約の整理が終わるまでは承継しておくという考え方もあります。

どちらも原則は店頭手続きです。ドコモは解約に「葬儀の案内状や死亡診断書など、死亡の事実が確認できるもの」が必要とし、住民票(除票)、除籍がわかる戸籍謄本、埋葬(火葬)許可証、法定相続情報一覧図の写しなども書類例です。au も家族の来店が原則で、承継の手数料は無料です。

注意点として、ドコモは解約すると「これまでお貯めいただいたdポイント/ドコモポイントは失効します」としています。未払い料金について au は、相続していれば支払いが必要、相続放棄をしていれば未払い料金も相続放棄となり支払いは不要、と説明しています。

ステップ4|カードと口座は最後に止める

個別の解約が済んでから、カードの退会に進みます。JCB は本会員が亡くなった場合の対応として、①カードの退会手続き、②サービス契約会社(携帯電話、公共料金など)の支払い方法変更手続き、③ご利用残高のお支払い、を案内しています。②が独立していること自体が、カードを止めただけでは契約は終わらないことを示しています。

見落としやすいのが付帯カードの同時退会です。三井住友カードは、本会員が退会すると「家族カード、ETC、PASMO、Suica、Apple Pay……なども同時に退会となります」としています。配偶者が家族カードで ETC を使っているなら、先に代わりを用意してください。支払いが残っていれば明細は登録住所へ郵送されます。見落としていた契約は、たいていここで最後に姿を現します。

いつまでに何をするか|時系列チェックリスト

時期やること
すぐ
(〜1週間)
・パスコードの当てずっぽう入力と初期化をやめる
・水没・落下した端末には通電しない
・自分の端末の「故人アカウント管理連絡先」を確認
・役所で死亡の記載がある戸籍謄本を複数通取る
・明細・通帳・郵便物から契約先を書き出し始める
1か月以内・Apple の「デジタル遺産」サイト、または Google へリクエストを提出
・契約先ごとに解約を申し出る
・携帯回線の承継/解約を決めて店頭へ(必要書類を持参)
・ネット銀行・コード決済の相続手続きを開始(時間がかかります)
・BitLocker の回復キー、FileVault の復旧キーを探す
3か月以内・カードの退会と、家族カード・ETC の代わりの手当て
・明細と郵便物を見て、止まっていない請求がないか再確認
・取り出せた写真やデータの保存先を決める
・端末の初期化・再利用または処分
相続放棄を検討している場合は、支払いや解約の前に弁護士・司法書士へ相談してください(期限があります)。

自分で無理なときの相談先と、頼む前に決めておくこと

請求や契約でもめている場合は、お住まいの自治体の消費生活センター等です。国民生活センターもデジタル遺品の相談先としてここを案内しており、消費者ホットライン「188」で最寄りの窓口につながります。

壊れた端末からデータを取り出したい場合はデータ復旧の専門業者ですが、依頼前に、①初期診断は無料か、②復旧できた場合の総額、③復旧できなかった場合の請求額、の3点を必ず書面で確認してください。金額が出てこないなら、その場で決めず他社にも聞きます。部屋の片付けごと頼む場合は遺品整理業者ですが、追加料金や処分費で行き違いが起きやすい分野です。見積書の見方は遺品整理の見積を比較する方法|追加料金・処分・残す物の確認点にまとめています。

家族の写真を、これからどう残すか

ここまで見てきたとおり、クラウドのアカウントは本人が亡くなると家族が触れなくなります。だからこそ、取り出せた写真は家族の誰もが手を伸ばせる場所に、2か所以上置くのが安全です。1台の外付けHDDに入れて押し入れにしまい、数年後に読めなくなるのが最も多い失敗です。家族全員で見るなら NAS、1人で管理するなら外付けHDDと向き不向きがあり、選び方はNASと外付けHDDの違いで整理しています。

よくある質問

Q. 故人のスマホのパスコードを、修理店や解析業者に頼めば開けてもらえますか。
A. 期待しないでください。国民生活センターは「第三者がロック解除することは困難」としています。開けることに費用と時間をかけるより、契約の洗い出しに切り替えるほうが確実です。

Q. 携帯電話を解約すれば、サブスクの請求も止まりますか。
A. 止まりません。キャリア決済分は携帯の請求と一緒に止まることがありますが、カード払いのサブスクは契約先ごとに解約しない限り請求が続きます。携帯を解約する前に、明細から契約先を書き出しておいてください。

Q. 故人アカウント管理連絡先になっていれば、故人のパスワードも分かりますか。
A. 分かりません。Apple は、iCloud キーチェーンに保管されているお支払い情報・パスワード・パスキーにはアクセスできないと明記しています。購入した映画・音楽・ブック・サブスクリプションも対象外です。

Q. 故人の Google アカウントは、放っておけば自然に消えますか。
A. 消える可能性はありますが、当てにはできません。Google は「2 年の期間内に使用されていない Google アカウントは無効とみなされます」とし、無効なアカウントとそのアクティビティやデータを削除する権限を有すると説明しています。ただし例外があり、継続中の購入や定期購入に使われているアカウント、残高のあるギフトカードを含むアカウントなどは、2年使われていなくても有効として扱われます。解約したい有料契約が残っている口座ほど、放っておいても消えないわけです。早く閉鎖したいなら、待つのではなくリクエストを出してください。

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参考情報・出典

本文中の手続き・必要書類は2026年9月27日時点で各公式ページを確認した内容です。制度や窓口は変わることがあるため、申請する前に最新の案内をご確認ください。相続の可否や相続放棄の判断については、弁護士・司法書士など専門家にご相談ください。

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