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ふるさと納税の経費上限は10月1日から47.5%|返礼品は減るのか、9月中に寄付すべきか

霧のかかった日本の郊外の住宅と田んぼの風景

2026年9月29日 追記:現行の基準で受け付けられるのは9月30日(水)までです。9月25日に総務省が10月からの指定を告示し(令和8年総務省告示第354号)、同日付の通知「ふるさと納税制度の適正な運用について」(総税市第108号)も公表されたため、その内容を追記しました。

2026年10月1日から、ふるさと納税の指定基準が変わります。ネット上では「経費の上限が50%から47.5%に下がる」「9月中に寄付したほうがいい」という説明が広がっています。

方向としては間違っていません。ただ、総務省の告示や通知を実際に読むと、条文には「47.5%」という数字は一度も出てきません。書かれているのは別の数字です。そして総務省は2026年8月20日付で、「10月から寄付額が上がる」と予告して寄付を集める行為そのものに注意喚起を出しています。

この記事では、一次情報で確認できる内容だけを整理します。

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条文に書かれているのは「47.5%」ではなく「52.5%」

今回の改正の根拠は、2026年3月31日に公布された地方税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第2号)と、同日付の平成31年総務省告示第179号の一部改正(令和8年総務省告示第145号)です。告示の附則には「この告示は、令和八年十月一日から施行する」と明記されています。

改正後の地方税法第37条の2第2項第2号イは、次のように定めています。

都道府県等が指定対象期間において受領する第一号寄附金の額の合計額から当該指定対象期間における第一号寄附金の募集に要する費用の額(中略)を控除して得た額(以下「寄附金活用可能額」という。)が、当該指定対象期間において受領する第一号寄附金の額の合計額の百分の六十に相当する金額以上であること。

つまり新しい基準は、経費に上限を課す形ではなく、「寄付額のうち自治体が実際に使える金額(寄附金活用可能額)が何%以上か」という下限を課す形で書かれています。これが新設された「寄附金活用基準」です。

そのうえで、改正法の附則が当面の割合を段階的に緩めています。総務省の通知「ふるさと納税制度の適正な運用について」(令和8年4月1日付け総税市第34号)に載っている表は次のとおりです。

指定対象期間の初日活用可能額の下限裏返した経費の上限
2026年10月1日〜2027年9月30日52.5%47.5%
2027年10月1日〜2028年9月30日55%45%
2028年10月1日〜2029年9月30日57.5%42.5%
2029年10月1日以降60%40%

「47.5%」は、条文の52.5%を100から引いた裏返しの数字です。報道や解説記事が使っている数字自体は正しく、最終的に経費は4割まで絞られます。

あわせて、これまでの基準だった「募集費用の合計額が寄付額の百分の五十以下であること」という条文は、告示第145号によって削除されました。50%ルールが47.5%に書き換わったのではなく、50%ルールが廃止されて、別の建て付けの基準に置き換わった、というのが実際の姿です。

「9月末まで」に意味があるのはなぜか

この基準が適用される単位は、暦年でも年度でもなく「指定対象期間」です。指定対象期間は10月1日から翌年9月30日までの1年間で、新基準は2026年10月1日に始まる期間から適用されます。

さらに、経費の計上方法が今回の改正で「寄附金受領日ベース」に統一されました。総務省のQ&A新旧対照表(別紙2関係)は、N年10月1日以降に受け取った寄付に対する返礼品の送付費用は、支払いが翌期にずれ込んでもN年の期間の経費として計上する、と説明しています。従来認められていた支払日ベースの計上は、2026年10月1日以降に始まる期間では認められません。

したがって、2026年9月30日までに受け付けられた寄付は従来の50%ルールが適用される期間に属し、10月1日以降の寄付から新しい52.5%基準の対象になります。「9月末まで」という区切りには、制度上の根拠があります。

ただし注意点があります。この基準は自治体が1年間を通算して守るべき数字であって、寄付1件ごとに損得が判定される仕組みではありません。「9月中なら得、10月以降は損」という単純な話ではなく、正確には「10月以降、自治体側が経費を絞る必要が強まる」ということです。

「経費」に何が含まれるのか

47.5%という数字を読むうえで大事なのは、この分母に何が入るかです。範囲はかなり広く取られています。

改正後の告示第4条第1項は、募集に要する費用に「申告特例の求めに関する事務、第一号寄附金の受領を証する書類に関する事務その他当該募集に付随して生ずる事務に要する費用を含む」と定めています。総税市第71号は、より具体的に次のものを挙げています。

  • 返礼品の調達費と、返礼品の送料・梱包費
  • 新聞広告やインターネット広告の掲載費
  • クレジットカード決済の手数料、金融機関の取扱手数料
  • 寄付金受領証の発行事務にかかる費用
  • ワンストップ特例の申請書の受付事務にかかる費用(電子化のための費用を含む)
  • ふるさと納税業務に携わる職員の人件費(他業務と兼任する職員の従事分を含む)
  • ポータルサイト運営事業者への委託料、各種事務の外部委託費

Q&Aは「ふるさと納税の募集を行ったことや寄附金を受領したことにより発生したと考えられる費用は、全て該当する」としており、事業者から別の事業者へ再委託された場合に生じる費用も含まれます。返礼品そのものだけでなく、寄付を集めて処理するために使ったお金が丸ごと対象になる、と考えたほうが実態に近くなります。

同時に、自治体側には2つの情報公開義務が課されました。1つは、決算を議会の認定に付したあと遅滞なく、寄附金活用可能額の使途に関する事項を自治体のウェブサイトに掲載すること(告示第4条第2項)。もう1つは、前年度に募集費用として1つの事業者に100万円以上を支払った場合、その支払先の名称・所在地・支払額・支払目的を記載した一覧表を作成し、公表することです(告示第3条第2号)。寄付した側から見れば、自分の寄付がどう使われ、どこにいくら流れたかを確認できる材料が増えることになります。

返礼品は減るのか、それとも手数料が下がるのか

木箱に入ったパプリカと青ねぎ
返礼割合の上限3割は据え置き。総務省はポータルサイト手数料の引き下げを求めている

ここは断定できない部分です。ただ、総務省がどちらを想定しているかは通知に書かれています。

まず、返礼割合の上限3割は今回も据え置かれました(地方税法第37条の2第2項第3号)。個別の寄付ごとに調達費が3割を超えてはならない、という基準は変わっていません。

そのうえで総務省は、通知「ふるさと納税に係る指定制度の運用について」(令和8年6月26日総税市第71号)で、ポータルサイト手数料の引き下げを名指しで求めています。同通知には、2026年5月22日に大手ポータルサイト運営事業者が参加する一般社団法人ふるさと納税協会の会員企業に対し、速やかな手数料引き下げを要請したと記載されています。

実際の規模は、2026年8月公表の現況調査結果(令和8年度実施)で確認できます。

  • 2025年度のふるさと納税受入額は約1兆3,314億円、約5,963万件
  • そのうちポータルサイト経由は約1兆2,947億円で、全体の97.2%(前年度94.5%から2.7ポイント上昇)
  • ポータルサイト運営事業者への支払総額は2,433億円で、ポータルサイト経由の受入額の18.8%
  • このうち返礼品の調達費と送料を除いた実質的な手数料は1,490億円で、ポータルサイト経由の受入額の11.5%(前年度は1,379億円、111億円の増加)
  • 2026年度課税でふるさと納税による住民税控除を受けた人は約1,151万人、控除額は約9,524億円

経費全体を2.5ポイント削る必要があるとき、寄付額の1割を超える規模の手数料は有力な削減先です。総務省の姿勢は、返礼品を薄くするのではなく手数料を下げてほしい、というものだと読めます。

一方、自治体側の現状は厳しいという民間調査もあります。一般社団法人自治体DX推進協議会が2026年7月8日に公表したプレスリリースによれば、全国327自治体を対象とした調査で、2025年度の経費率は平均45.8%、中央値48.5%でした。中央値が新基準の47.5%を上回っており、同協議会は78.0%の自治体が寄付金額や返礼割合の見直しに着手していると報告しています。

見直しが起きること自体は見込まれますが、その中身が「返礼品の量が減る」なのか「同じ返礼品の必要寄付額が上がる」なのか「手数料が下がって据え置き」なのかは、自治体ごとに異なります。現時点で一律に断定できる材料はありません。

「10月から値上がり」という表示に総務省が注意喚起

今回いちばん見落とされやすいのが、2026年8月20日付の通知「ふるさと納税制度における募集適正基準の遵守の徹底について」(総税市第96号)です。

この通知は、一部ポータルサイトで「コスパ」「特別寄附額」「特別規格」「家計応援」「物価高応援」といった、通常より必要寄付額が割安だと寄付者に認識させる表現が見られると指摘し、これらは募集適正基準に違反するおそれが高いとしています。

そして次の一文が続きます。

また、将来的な必要寄附金額の引上げを予告して募集を行うことも同様です。

つまり「10月から寄付額が上がります、今のうちに」という趣旨の募集表示自体が、違反のおそれがあるものとして名指しされています。しかも通知は、外部事業者がポータルサイト上でそうした表示を行った場合でも、指定取消の対象になるのは自治体だと明記しています。

指定取消は軽い話ではありません。今回の改正で、総務省が指定を取り消すときは3年以内の期間を定めて再指定しない旨を決定しなければならないとされ、遡及して確認する期間も指定対象期間の初日前4年以内に延びました。総税市第34号によれば、2025年には6団体の指定取消しが発生しています。

読者の立場でいえば、「10月から損をする」と強く煽る表示ほど、そのまま受け取らないほうがよい、ということになります。

9月25日、10月からの指定が告示された(総税市第108号)

2026年9月25日、総務省は2026年10月1日から2027年9月30日までの期間に係る指定を告示しました(令和8年総務省告示第354号)。同じ日付で、各都道府県のふるさと納税担当部長あてに通知「ふるさと納税制度の適正な運用について」(総税市第108号)も出ています。新しい基準が実際に動き出す直前の一次情報なので、ここまでの内容に補足します。

まず、寄付先そのものは10月1日を境に入れ替わりません。指定告示に並んでいる自治体は、いま動いている期間(2025年10月1日〜2026年9月30日。令和7年総務省告示第330号)の一覧と同じ内容でした。東京都だけは都としての指定がなく(都内の区市町村はすべて指定されています)、長野県・岡山県・佐賀県・長崎県・熊本県の5県は「全ての市区町村」ではなく市区町村名が個別に並んでいますが、これも前の期間と変わりません。「10月になったら寄付先が減る」という話ではない、ということです。

そのうえで、通知は自治体側への要求をはっきり書いています。寄附金活用基準については「当該期間における寄附金活用可能額が、100分の52.5未満となった地方団体については、指定取消しの対象となり得ます」。1年を通算して守れなければ指定を失う、という書き方です。

返礼割合3割の扱いも念押しされました。通知は、物価上昇で調達費が上がったことを理由にしても3割基準の例外にはならず、指定の取消し事由になるとしたうえで、自治体が取るべき対応を「返礼品等の数量の調整や必要寄附金額の変更等の措置」と書いています。10月以降に同じ返礼品の必要寄付額が上がったり、内容量が少し減ったりする場合、その背景にあるのはこの部分です。総務省が想定している調整手段が、値段と量であることは押さえておいてよいと思います。

もうひとつ、10月に選択肢が細るとしても、それが年度末まで続くわけではありません。期間が始まったあとに新しい返礼品を出すには総務省の追加確認が必要で、通知はその日程を次のように示しています。

  • 第1期:2026年10月16日〜22日に自治体が提出 → 10月23日〜12月24日に国が確認 → 提供開始
  • 第2期:2027年1月22日〜28日に提出 → 1月29日〜3月26日に確認 → 提供開始
  • 第3期:2027年4月7日〜13日に提出 → 4月14日〜6月14日に確認 → 提供開始

年末にかけて返礼品が追加される流れは、この日程に沿って動きます。10月の時点で目当ての品が見当たらなくても、12月までに戻ってくることはあり得ます。

ポイントなどの経済的利益についても、範囲が広いことが改めて示されました。通知は「経済的利益は、ポータルサイト運営事業者が付与するポイントに限られず、返礼品提供事業者が通常提供する返礼品とは別に、追加的に物品等を提供することを表示して募集を行った場合には、本指定基準に違反するおそれがある」としています。ポータルのポイントが2025年10月に止まったあとも、「おまけ」の形で上乗せを見せる募集は同じ枠で見られている、ということです。

そして前の節で触れた「適切な寄附先の選択を阻害するような表現」については、通知が「今後、(中略)調査を実施することを予定しております」と明記しました。8月20日の注意喚起で終わりではなく、実地の確認が続くことになります。

寄付する側で変わらないこと、確認したほうがいいこと

自己負担2,000円を超える部分が原則として所得税・住民税から控除されるという基本の仕組みと、控除の上限が住民税所得割額の2割を限度とする考え方は、今回の経費規制では変わりません。ワンストップ特例(確定申告不要な給与所得者等が対象、寄付先5団体以内)の枠組みも変わっていません。

ただし、同じ令和8年度税制改正には寄付する側に関わる見直しも含まれています。総税市第34号は、特例控除額の控除限度額について、所得割額の20%相当額と一定の金額(道府県民税で77万2,000円、指定都市に住所がある場合は38万6,000円。市町村民税で115万8,000円、指定都市の場合は154万4,000円)のいずれか低い金額とする、と記載しています。また、特例控除額の計算に使う人的控除差調整額の見直しも入っています。

これらは寄付額が非常に大きい人や控除の条件が特殊な人に影響する部分で、適用される年度まではこの記事では確認できていません。高額の寄付を予定している場合は、自治体やポータルサイトのシミュレーターで、その年に適用される自分の控除上限額を必ず確認してください。

期限は9月30日(水)まで。いま動くなら

書類の上でスマートフォンを操作する手元
急かす表示ではなく、自分の控除上限額を先に確認する

制度上の区切りが9月30日にあるのは事実です。この記事を更新した2026年9月29日から数えると、現行の基準で受け付けられるのは今日と明日の2日だけになります。年内にふるさと納税を予定していて、すでに寄付先も返礼品も決まっているのであれば、9月30日までに済ませておく合理性はあります。

そのうえで、次の3点だけは押さえておきたいところです。

  1. 自分の控除上限額を先に確認する。上限を超えた分は自己負担になります。
  2. 経費の計上は寄附金受領日ベースに統一されました。申込日ではなく、自治体が寄付を受領した日で期間が決まります。決済の反映に時間がかかることもあるので、9月30日の深夜に駆け込むのは避けて、日中のうちに終わらせておくのが安全です。
  3. ワンストップ特例を使うなら、寄付先が5団体以内であることと、申請書の提出が必要であることを忘れない。

逆に、寄付先も返礼品も決まっていない状態で「期限だから」と急ぐ必要はありません。今回の改正は自治体の経費構造を絞るもので、控除の仕組みそのものを縮小するものではないからです。

まとめ

2026年10月1日から、ふるさと納税の指定基準に「寄附金活用基準」が加わります。条文が定めるのは活用可能額52.5%以上という下限で、よく見る「経費47.5%」はその裏返しです。この割合は2029年10月に60%(経費40%)まで段階的に引き上げられます。

9月25日には10月からの指定が告示され、寄付先の一覧は前の期間と同じ内容でした。9月末という区切りには制度上の根拠がありますが、判定は自治体単位・期間単位であって、寄付1件ごとの損得ではありません。返礼品がどう変わるかは自治体ごとに異なり、総務省自身はポータルサイト手数料の引き下げを求めています。そして「10月から値上がり」と予告して寄付を集める表示は、総務省が8月20日付で違反のおそれを指摘した対象です。急かす言葉ではなく、自分の控除上限額を基準に判断してください。

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