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台風や地震で電気が止まると、困ることは一度にやってきます。スマホの電池が減っていく、夜は真っ暗、冷蔵庫の中身が心配、マンションなら水が出なくなりトイレも流せないことがある。何をどれだけ用意すればいいのか分からず、防災グッズの一覧を見て全部そろえようとすると、費用も置き場所も足りません。
この記事では、首相官邸・農林水産省・総務省消防庁などの公式情報をもとに、停電したときに困る順番で備えを整理します。あわせて、見落とされがちな「電気が戻ったときの火災(通電火災)」の防ぎ方もまとめます。個別の道具の選び方は、当サイトの記事にリンクしています。
停電で困るのは「情報・明かり・水とトイレ・食事・温度」
停電が起きたときに困ることを、起きる順に並べると次のようになります。備えも、この順に整えていくと無駄がありません。

- 情報:停電の範囲や復旧の見込み、避難の情報を得る手段。スマホの電池と、電池で動くラジオ。
- 明かり:夜になる前に必要です。懐中電灯やランタン。
- 水とトイレ:集合住宅ではポンプが止まり、水が出なくなることがあります。飲み水と、流せないときのトイレ。
- 食事:冷蔵庫が止まり、調理家電も使えなくなります。火を使わずに食べられるもの、カセットコンロ。
- 温度:夏はエアコン、冬は暖房が止まります。長引くほど体への負担が大きくなります。
まず用意するのは「3日分」。できれば1週間分
どれくらいの量を用意すればいいかは、公的な目安があります。首相官邸の「災害が起きる前にできること」では、飲料水は3日分(1人1日3リットルが目安)、非常食も3日分とし、大規模な災害に備えるなら1週間分の備蓄が望ましいとしています。備蓄品の例として、トイレットペーパー、ティッシュ、携帯トイレ・簡易トイレ、マッチ、ろうそく、カセットコンロなどが挙げられています。
農林水産省の「災害時に備えた食品ストックガイド」も、最低3日分から1週間分の食品の備蓄を勧めています。理由として、災害時はスーパーやコンビニで食品が手に入りにくくなること、過去の災害では支援物資が届くまでに3日以上かかることが多く、物流の回復に1週間以上かかる場合もあることが挙げられています。同じガイドは、普段食べているものを多めに買っておき、食べた分を買い足す「ローリングストック」を紹介しています。非常食を特別に買いそろえるより続けやすい方法です。
量の計算は、当サイトの非常用の水は一人何リットル必要?と非常食は何日分必要?で、家族の人数に合わせて出せます。
情報と明かり|スマホの電源をどう確保するか
停電中の情報源の中心はスマホです。ただ、ふだんは毎晩充電しているので、予備の電源がなければ1〜2日で使えなくなります。まず用意したいのは、スマホを数回充電できるモバイルバッテリーです。必要な容量の考え方はモバイルバッテリーは何Wh必要?停電時のスマホ充電回数の考え方にまとめています。
スマホの電池を節約するために、電池や手回しで動くラジオがあると安心です。選び方は防災ラジオの選び方を参照してください。明かりは、手に持つ懐中電灯と、部屋全体を照らすランタンを分けて用意すると、両手が使えて便利です。ろうそくは首相官邸の備蓄品の例にも挙がっていますが、倒れたときの火災が心配な場合は電池式のランタンを優先します。
水とトイレ|マンションは特に注意
停電で見落としやすいのがトイレです。マンションなどでは給水ポンプが止まると水が出なくなり、トイレを流せなくなることがあります。また、大きな地震のあとは配管が壊れている可能性があり、水が出ても流さないほうがよい場合があります。首相官邸の備蓄品の例にも、携帯トイレ・簡易トイレが入っています。
何回分用意すればいいかは、家族の人数と日数で決まります。考え方と選び方は非常用トイレは何回分必要?に詳しく書いています。飲み水とは別に、手を洗ったり食器を拭いたりする生活用水も、お風呂の残り湯などで確保しておくと役立ちます。
食事と温度|冷蔵庫・調理・冷暖房が止まる
停電すると冷蔵庫が止まります。開け閉めを減らすと中の温度が上がりにくくなるので、停電したらむやみに開けず、傷みやすいものから食べていきます。調理にはカセットコンロが役立ちます。首相官邸の備蓄品の例にも挙がっているので、ボンベと一緒に用意しておきます。すぐ食べられる非常食の選び方は一人暮らし向け非常食セットの比べ方にあります。
夏と冬は、冷暖房が止まることが体への大きな負担になります。夏は窓を開けて風を通す、濡らしたタオルで体を冷やす、冬は重ね着や毛布で体温を逃がさない、といった電気を使わない工夫が基本です。電気毛布や扇風機のような小さな家電を動かしたい場合は、次の章のポータブル電源が選択肢になります。
家族に合わせて足しておくもの
ここまでの備えは、どの家庭にも共通する基本です。そのうえで、家族の状況に合わせて足しておきたいものがあります。農林水産省も、標準的な食品ストックガイドとは別に、乳幼児・高齢者・食物アレルギーのある人など、配慮が必要な人向けのガイドを用意しています。
- 乳幼児がいる:ミルクや離乳食、ミルク用の水、おむつ、おしりふき。停電でお湯が沸かせないことも考えて、カセットコンロのボンベを多めに。
- 高齢の家族がいる:ふだん飲んでいる薬を数日分多めに、眼鏡や補聴器の予備と電池、やわらかく食べやすい食品。
- 食物アレルギーがある:避難所や支援物資で対応した食品が手に入るとは限らないため、食べられるものを家に多めに。
- ペットがいる:フードと水、トイレ用品、キャリーケース。人の分とは別に数えます。
- 在宅で医療機器を使っている:停電時の電源の確保について、主治医や機器の販売・レンタル会社に事前に相談しておきます。
長い停電に備えるなら|ポータブル電源の考え方
停電が1日以上続きそうな地域や、在宅で医療機器を使う家族がいる、小さな子どもや高齢者がいて冷暖房を止めたくない、といった家庭では、家電を動かせるポータブル電源を用意する人が増えています。選ぶときは、次の2つの数字を見ます。
- 容量(Wh・ワットアワー):どれだけの電気をためられるか。使いたい家電の消費電力(W)×使う時間(h)の合計が目安です。たとえば50Wの電気毛布を8時間使うなら400Wh。実際には変換のロスがあるので、余裕を持たせます。
- 定格出力(W・ワット):一度に使える電力の上限。電子レンジやドライヤーのように消費電力の大きい家電は、出力が足りないと動きません。
まず「停電中に何を動かしたいか」を書き出し、家電の底や裏にある消費電力の表示を確かめてから、容量と出力を決めると、必要以上に大きな機種を買わずに済みます。当サイトが提携しているメーカーの公式サイトを2つ載せます。容量・出力・重さ・保証は、機種ごとに公式サイトで確認してください。
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台風の前など、停電が予想されるときにやること
地震と違い、台風や大雪は数日前から停電の可能性が分かります。前日までに次のことを済ませておくと、停電してからの負担が大きく変わります。
- スマホとモバイルバッテリーを満充電にする:家族全員の分。タブレットやノートパソコンも充電しておくと、予備の電源になります。
- 停電情報の確認先をスマホに登録しておく:住んでいる地域の電力会社(送配電事業者)の停電情報のページやアプリ。停電中はつながりにくくなることもあるので、先に開けるようにしておきます。
- 浴槽やポリタンクに水をためる:トイレを流す水や生活用水に使えます。小さな子どもがいる家では、浴槽への転落に注意してください。
- 冷凍庫に保冷剤や凍らせたペットボトルを入れておく:停電したときに冷蔵庫の温度が上がるのを遅らせられます。溶けたペットボトルは飲み水にも使えます。
- 懐中電灯とランタンの電池を確かめる:いざ使おうとしたら電池切れ、はよくある失敗です。予備の電池も手の届く場所に置きます。
電気が戻るときの「通電火災」を防ぐ
停電そのものより危険なことがあるのが、電気が戻ったときの火災です。総務省消防庁の消防白書のコラムでは、東日本大震災で原因が特定された火災のうち過半数が電気に起因していたとされています。倒れた家具の下で傷んだ配線に電気が流れたり、倒れた暖房器具に燃えやすいものが触れたまま電気が戻ったりして出火するのが、いわゆる通電火災です。
2026年7月には、消費者庁・経済産業省・総務省消防庁が、停電時の通電火災について改めて注意を呼びかけました。対策は次のとおりです。
- 停電したら、電気機器のプラグをコンセントから抜く(とくに暖房器具・電気ストーブ)。
- 家を離れて避難するときは、ブレーカーを落とす。
- 電気が戻ったら、使う前に確認する:電化製品や配線が壊れていないか、暖房器具のまわりに燃えやすいものがないか。
- ふだんから備える:家具を固定する、暖房器具のまわりに物を置かない。揺れを感じると自動で電気を止める「感震ブレーカー」も、消防庁が対策の1つに挙げています。

避難するときに持ち出すもの
停電が長引いたり、ほかの被害と重なったりして避難することになった場合に備えて、持ち出す物はリュックにまとめておきます。首相官邸も、非常時に持ち出すべきものをあらかじめリュックサックに詰めておくよう勧めています。重すぎると持って歩けないので、中身と重さの目安は防災リュックの重さ目安を参考にしてください。
よくある質問
Q. 水は1人どれくらい用意すればいいですか。
首相官邸は、飲料水を1人1日3リットル、3日分を目安としています。大規模な災害に備えるなら1週間分が望ましいとしています。4人家族で3日分なら36リットルです。
Q. 非常食を買っても、期限切れで捨ててしまいます。
農林水産省のガイドが紹介している「ローリングストック」が向いています。ふだん食べているレトルトや缶詰を少し多めに買い置きし、食べた分を買い足すことで、期限切れを防ぎながら備蓄を保てます。
Q. 停電から復旧したら、すぐ家電を使っていいですか。
使う前に、電化製品や配線が壊れていないか、暖房器具のまわりに燃えやすいものがないかを確かめてください。消防庁は、復旧時にこうした確認をするよう呼びかけています。停電中は電気機器のプラグを抜いておくと安心です。
Q. ポータブル電源は、どの家庭にも必要ですか。
必須ではありません。まずは水・食料・トイレ・明かり・モバイルバッテリーをそろえるのが先です。停電が長引きやすい地域、医療機器を使う家族がいる、冷暖房を止められない家族がいる、といった場合に検討する価値があります。
Q. ろうそくを明かりに使ってもいいですか。
首相官邸の備蓄品の例にはろうそくも挙がっていますが、倒れたり、燃えやすいものに触れたりすると火災の原因になります。余震が続くときや、子どもやペットがいる家では、電池式のランタンや懐中電灯を優先してください。
Q. 停電がいつ直るかは、どこで分かりますか。
住んでいる地域の電力会社(送配電事業者)が、停電の範囲や復旧の見込みをウェブサイトやアプリで公開しています。停電中はスマホの電池を節約したいので、確認先を前もって登録しておき、見る回数を決めておくと安心です。
Q. 備えた物は、家のどこに置けばいいですか。
停電は夜に起きることもあるので、懐中電灯は寝室の枕元など、暗くても手が届く場所に置きます。水や食料は1か所にまとめず、キッチンや玄関の収納などに分けて置くと、家具が倒れて1か所に近づけなくなったときにも取り出せます。持ち出し用のリュックは玄関の近くが基本です。
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参考情報・出典
確認日:2026年9月28日
- 首相官邸「災害が起きる前にできること」https://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/sonae.html
- 農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/chapter01.html
- 総務省消防庁「【コラム】地震火災対策について」(令和2年版 消防白書)https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/r2/chapter1/section1/para3/56542.html
- ITmedia NEWS「停電中の自宅を離れる時は『ブレーカー落とす』 消費者庁などが『通電火災』の注意喚起」(2026年7月29日)https://www.itmedia.co.jp/news/article/2607/29/2000000271/
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