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東京海上日動の自動車保険が10月から平均6.5%値上げ|参考純率は平均14.4%引き上げ済みで、乗り換えの損得は等級で分かれる

保険証券の書類と虫眼鏡、ミニカーが机の上に置かれている

東京海上日動火災保険が、2026年10月から自動車保険料を平均で約6.5%引き上げます。2024年1月以降では4回目の値上げで、上げ幅は過去2番目の大きさです。

ただ、10月の改定は一連の値上げの入口にすぎません。損害保険料率算出機構(損保料率機構)は2026年6月23日、各社が保険料を決める基礎となる「参考純率」について、平均14.4%の引き上げを金融庁長官に届け出ています。前回2024年6月の改定幅は5.7%でしたから、その2倍以上です。

この記事では、10月に何が上がるのか、なぜ上がるのか、そして「値上げ前に乗り換えるべきか」の答えが契約者の等級によって逆向きになる理由を、損保料率機構の届出資料と各社の公表情報で整理します。

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10月に上がるのは東京海上日動、他社は時期がずれている

大手損保の値上げは足並みがそろっていません。一般社団法人日本自動車会議所が2026年6月24日にまとめた各社の動きと、その後の報道を合わせると、現時点で判明しているスケジュールは次のとおりです。

会社改定時期平均改定率
損保ジャパン2026年7月(実施済み)約1.8%の引き上げ
東京海上日動2026年10月約6.5%の引き上げ
損保ジャパン2027年1月約5%の引き上げ
三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保(MS&AD)2027年4月約6%の改定予定

新しい保険料が適用されるのは、改定日以降に新しく加入するか、満期を迎えて契約を更新する契約からです。10月1日に自動的に全契約の保険料が上がるわけではなく、自分の契約の始期日がいつかで決まります。10月に満期を迎える人は10月から、来年3月に満期を迎える人は来年3月から新しい保険料になります。

なお、上に並べた数字はいずれも各社の平均値です。損保料率機構も届出資料で「契約条件ごとの改定率は異なります」と明記しており、用途・車種、補償内容、年齢条件、使用地域によって実際の変動幅は平均から上下にずれます。「6.5%上がる」という断定ではなく、「平均でこのくらい動く改定がある」という受け止め方が正確です。

整備工場でリフトに載せられ、リヤバンパーを外した状態の乗用車を作業員が整備している
写真:Pexels

今回が初めてではない|2025年10月と2026年1月の改定

今回の改定が「2024年1月以降4回目」と言われても、これまでにどれだけ上がってきたのかは見えにくいところです。各社の直近の改定を並べると次のようになります。東京海上日動にとっての1回前が2025年10月、ほかの3社は2026年1月です。

会社改定時期平均改定率
東京海上日動2025年10月約8.5%の引き上げ
損保ジャパン2026年1月約7.5%の引き上げ
三井住友海上2026年1月約7%の引き上げ
あいおいニッセイ同和損保2026年1月約6%の引き上げ
JAF Mate Online(2026年1月28日)、一般社団法人日本自動車会議所(2025年8月29日)より作成

東京海上日動の契約者にとって、2026年10月の約6.5%は2025年10月の約8.5%に続く改定です。平均改定率は単純に足し算できる数字ではありませんが、更新のたびに保険料の水準が上がってきたことは、この並びから読み取れます。ほかの3社も2026年1月にすでに一度上げたうえで、2027年の改定を予定していることになります。

ここから言えるのは、「待てば元の保険料に戻る」という場面ではないということです。2025年秋から2026年1月にかけての改定も今回の改定も、理由は自然災害と修理費(部品費・工賃など)の上昇で共通しています。さらに参考純率の平均14.4%引き上げが2027年以降に効いてきます。乗り換えを考えるかどうかは「安くなるのを待つ」ではなく、次の満期の時点でどの条件が自分に合うかで判断することになります。

値上げの理由は「事故が増えたから」ではない

値上げと聞くと事故が増えたのかと思いますが、損保料率機構のデータはむしろ逆を示しています。

新型コロナ後に交通量が戻ったことで事故率はいったん増えましたが、足元では衝突被害軽減ブレーキ(AEB)など先進安全技術の普及を背景に緩やかに減少しています。にもかかわらず保険料が足りなくなっているのは、事故1件あたりに支払う保険金(保険金単価)の上昇が、事故率の減少を上回っているからです。

対物賠償責任保険の1件あたり修理費は、次のように積み上がっています。

年度1件あたり修理費前年度比
2022年度33.6万円-
2023年度35.8万円+6.7%
2024年度38.6万円+7.6%

2024年度の内訳は、部品費17.4万円、工賃7.3万円、塗装費6.0万円、代車料などの間接損害7.9万円です。2年で5万円増えた計算になります。

損保料率機構は、この保険金単価の上昇について要因ごとの寄与率も示しています。物価上昇と高性能部品の普及などが40%程度、工賃単価の上昇が35%程度、代車料などその他が25%程度です。つまり4割は部品そのものの値段、3割強は人件費という構図で、どちらも自動車保険の中だけで止められる話ではありません。

部品単位で見ると上昇幅はさらに具体的です。修理見積りデータの集計によると、2025年3月から2026年3月までの1年で、ヘッドランプユニット(左)の部品費は+17%、フロントバンパの工賃は+16%、ラジエータグリルの工賃は+16%、リヤバンパの工賃は+16%上がっています。軽い接触事故でも、センサーやカメラが組み込まれたバンパーやランプを交換すれば請求額が跳ね上がる、という実感に数字が追いついた形です。

部品と工賃の上昇は、タイヤ大手3社が9月1日に平均5〜6%の値上げを実施した件とも地続きで、クルマの維持費全体が同じ方向に動いています。

本当の山は2027年|参考純率は平均14.4%引き上げ

10月の6.5%より大きいのが、損保料率機構が2026年6月23日に届け出た参考純率の改定です。金融庁の適合性審査結果通知は6月30日付で受領済みで、想定しているのは2027年1月以降に保険始期を有する契約です。

届出資料に載っている契約例ごとの改定率は、平均14.4%よりさらに大きくなります。

契約例(対人・対物・人身傷害・車両のセット)改定率
自家用普通乗用車・自家用小型乗用車+17.2%
自家用軽四輪乗用車+17.5%
上記から車両保険を除いたセット+16.4%(軽四輪は+15.8%)

ただし、この数字をそのまま自分の保険料に当てはめることはできません。理由は3つあります。

第一に、参考純率は保険料のうち「純保険料率」(事故が起きたときに支払う保険金に充てる部分)だけの数値です。保険会社の経費などに充てる付加保険料率は各社が独自に決めており、参考純率には含まれません。

第二に、参考純率には使用義務がありません。損保料率機構自身が「使用義務のない参考数値」と明記しており、採用するかどうか、どのタイミングで反映するかは各社の判断です。実際、損保ジャパンは2027年1月に約5%、MS&ADは2027年4月に約6%と、14.4%よりかなり小さい幅で段階的に反映する見通しです。

第三に、上記の改定率の例は20等級(無事故)・45歳・26歳以上補償・沖縄県以外といった特定の契約条件での試算です。等級や年齢条件が違えば結果も変わります。

それでも方向感ははっきりしています。2026年10月の改定で終わりではなく、2027年にかけて改定が続く前提で家計を見ておくほうが安全です。

「乗り換えるか待つか」が等級で分かれる理由

ここが読者にとっていちばん実益のある部分です。「値上げ前に他社へ乗り換えたほうが得か」の答えは、ノンフリート等級によって逆向きになります。

ノンフリート等級は過去の事故歴に応じた1〜20等級の区分で、損保料率機構の資料によれば1等級と20等級の保険料較差は約5.62倍あります。1年間無事故で満期を迎えると1等級上がり、事故で保険金を受け取ると原則3等級下がります。7〜20等級にはさらに「無事故」「事故有」の区分があり、20等級ではこの2区分の間に最大約1.32倍の較差があります。

仕組み上のポイントは、等級が上がるほど、1年で増える割引の幅が小さくなっていくことです。あいおいニッセイ同和損保が公表している例では、初めての契約は6等級(S)で3%の「割増」、2台目以降でセカンドカー割引が使える場合の7等級(S)は38%の「割引」です。低い等級のうちは1段上がるだけで割引率が大きく動きますが、高い等級に達すると1年あたりの伸びしろは小さくなります。

この構造に平均6.5%の値上げが重なると、次のように分かれます。

  • 等級が高い場合(おおむね17等級以上):1年待って1等級上がっても、増える割引より値上げのほうが大きくなりやすい。JAF Mate Onlineは17等級の例として、乗り換えたほうが向こう1年の保険料が安くなる可能性があると説明しています。
  • 等級が低い場合や事故有係数が付いている場合(7等級前後など):1等級上がるときの割引率の伸びが値上げ幅を上回る可能性が高く、慌てて動かないほうが翌年の保険料が安くなるケースがあります。

損保料率機構の統計では、ノンフリート契約者のうち最も割引率が大きい20等級の割合は2024年度で52.1%と過半数を超えています(対人賠償責任保険)。つまり読者の多くは「割引の伸びしろが小さい側」に属している計算になります。

ただし、これはあくまで一般的な傾向です。等級ごとの割増引率は各保険会社が自社の商品ごとに定めており、公的機関が一律の数表を公表しているわけではありません。実際の損得は、いま契約している会社の割増引率表(重要事項説明書や約款に記載)と、比較先の見積額を突き合わせないと判断できません。この記事の内容を根拠に乗り換えを決めるのではなく、自分の証券と実際の見積りで確認してください。

また、無事故でも更新保険料が上がることはあります。東京海上日動はFAQで、その理由として商品・保険料率の改定のほか、新車割引やASV割引の適用条件を満たさなくなること、同じ型式の車に事故が多い場合の型式別料率クラスの変更、記名被保険者の年齢上昇を挙げています。「上がった=損をしている」とは限らない点は押さえておきたいところです。

車内でクリップボードに挟んだ保険の申込書に記入している人の手元
写真:Pexels

乗り換えるなら、満期日でそろえる

比較した結果として乗り換える場合、手続きの日付を間違えると等級の面で損をします。

満期日での切り替えが原則です。 前の契約の満期日または解約日から7日以内に新しい契約の始期日を設定すれば、保険会社や共済をまたいでも等級は引き継げます。8日以上空くと原則として引き継げず、6等級からのスタートになります(東京海上ダイレクト、三井ダイレクト損保の説明)。解約日と新しい契約の始期日は同じ日にそろえるのが安全です。

満期を待たずに途中解約して乗り換えると、等級の進みが遅れます。 チューリッヒ保険会社は、1年間無事故で満期を迎えると等級が1つ上がるのに対し、保険期間の途中で切り替えると解約時と同じ等級で始まるため、等級が進行するタイミングが遅くなると説明しています。さらに解約返戻金は日割ではなく短期料率で計算されるため、戻る金額も少なくなります。「値上げ前に駆け込む」動きが、かえって割高になることがあるわけです。

保険料を下げるために補償を削るのは、別の判断です。 対物賠償の保険金額を無制限から有限に変えたり、人身傷害を外したりすれば見積額は下がりますが、それは値上げへの対処ではなく補償範囲の変更です。修理費が上がっているということは、事故を起こしたときに自分が請求される金額も上がっているということでもあります。比較するときは、同じ補償内容どうしで並べてください。

2027年からは「運転の仕方」も保険料に入る

今回の参考純率の届出には、もう一つ新しい要素があります。運転者の運行特性を保険料に反映する料率区分の新設です。

ドライブレコーダーなどで測定した急加速・急減速の頻度に応じて1〜3の3区分に分け、最も頻度が少ない区分1が最も保険料が安くなります。損保料率機構の分析では、急加速・急減速が少ないほど事故のリスクが低いという関係が確認されており、区分間の較差は10%とされています。

この制度がどの会社でいつ始まるかは各社の判断になりますが、「安全運転が保険料に直接効く」仕組みが標準的な料率区分として入ってくる意味は小さくありません。急ブレーキを減らす運転は、9月21日から始まる秋の全国交通安全運動の趣旨とも重なります。

いま確認できること

保険会社を変えるかどうかを決める前に、手元の証券だけで確認できることがあります。

  1. 自分の等級と事故有係数適用期間。保険証券か契約者向けページに記載されています。この2つが分からないと、乗り換えの損得はそもそも計算できません。
  2. 次の満期日。改定後の保険料が適用されるのは、改定日以降に始期を迎える契約からです。満期日が10月より前なら、今回の東京海上日動の改定はまだ効きません。
  3. 現在の契約の割増引率表。重要事項説明書や約款に、等級ごとの割増引率が載っています。1等級上がると何ポイント増えるかを見れば、値上げ幅と比べられます。
  4. 更新案内に書かれた次年度保険料。満期の約2〜3か月前に届く更新案内には、改定後の金額が入っています。推測せず、この数字で比較するのが確実です。
  5. 同じ補償内容での他社見積り。比較するなら、対人・対物・人身傷害・車両保険の金額と免責、運転者限定、年齢条件をそろえてください。

まとめ

東京海上日動の自動車保険料は2026年10月から平均約6.5%上がります。2024年1月以降4回目で、上げ幅は過去2番目です。損保ジャパンは2027年1月に約5%、MS&ADは2027年4月に約6%の改定を予定しており、業界全体で改定が続きます。

背景は事故の増加ではありません。事故率は先進安全技術の普及で緩やかに減っている一方、対物賠償の1件あたり修理費は2022年度の33.6万円から2024年度の38.6万円まで上がりました。上昇要因の4割は部品費、3割強は工賃です。損保料率機構は2026年6月23日に参考純率の平均14.4%引き上げを届け出ており、2027年以降に順次反映されていきます。

「値上げ前に乗り換えるべきか」の答えは等級で分かれます。高い等級ほど1年で増える割引の伸びが小さく、値上げに負けやすい。低い等級や事故有係数が付いている場合は、1年待って等級が上がるほうが有利になり得ます。ただし割増引率は会社ごとに違うため、最終的には自分の証券と実際の見積りで確かめるしかありません。動くなら満期日でそろえること、途中解約は等級の進みを遅らせることの2点だけ、先に頭に入れておいてください。

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