〜暮らしの落書き帳〜

賃貸の給湯器が故障したら費用は誰が払う?連絡の手順と文例

賃貸の給湯器が故障したら費用は誰が払う?連絡の手順と文例 住まいの故障・修理

賃貸の部屋で、給湯器が急にお湯を出さなくなった。直すのは大家さんなのか、自分なのか。費用は誰が払うのか。民法と国の資料から、負担の分かれ目と、連絡のしかたをまとめます。

先に結論:給湯器の修理代は誰が払う?

部屋に付いている給湯器が古くなって壊れたなら、直すのも払うのも原則は貸主(大家さん)です。借りている人が払うのは、自分の使い方が原因で壊したときです。

  • 原則:貸主が直す。費用も貸主(民法606条)
  • 例外:借りている人の不注意や乱暴な使い方が原因なら、借りている人の負担
  • 契約書の「借主負担」:国のひな形では、電球やパッキンのような費用の軽い修理を指す。高い給湯器の交換まで借主負担になるとは限らない
  • 順番:まず管理会社か大家さんに知らせる(民法615条)。自分で業者を呼ぶのは、知らせても直してくれないときか、急ぐ事情があるときだけ(民法607条の2)
  • お湯が使えない間の家賃:使えない割合に応じて減る決まりがある(民法611条)。額は話し合って決める

ガス臭い・煙が出る・水が漏れ続けるときは、負担の話より先に使うのをやめ、ガス臭ければガス会社へ連絡します。

民法では、誰が直して誰が払う決まり?

民法606条1項は、貸主は貸した物を使うのに必要な修繕をする義務を負う、と定めています。ただし、借りている人の責任で修繕が必要になったときは、この限りではありません。東京都の資料では、この修繕義務は給湯器やエアコンなどの付帯設備(部屋に備え付けの設備)にも及ぶと説明しています(東京都住宅政策本部、2026年10月確認)。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」も、同じ考え方です。設備機器の故障や使用不能のうち、機器の寿命によるものは貸主の負担としています(国土交通省、2026年10月確認)。退去時の費用の分け方を示した資料ですが、住んでいる間の故障を考える目安になります。

一方で、借りている人にも決まりがあります。民法615条は、修繕が必要になったら遅滞なく(すぐに)貸主に知らせることを求めています。知らせずに放っておいて故障が広がると、その分の責任を問われることがあります。また606条2項により、貸主が修繕に来るのを、借りている人は拒めません。

賃貸の給湯器が故障したら費用は誰が払う?連絡の手順と文例
賃貸の給湯器が故障したら費用は誰が払う?連絡の手順と文例

借りている人の負担になりやすいのは、故障の原因が自分の側にあるときです。たとえば、物をぶつけて壊した、説明書で禁じられた使い方を続けた、異常に気づいていたのに長く知らせなかった、などです。

そもそも給湯器がなぜ止まっているのかを先に確かめたいときは、電源やガスメーター、凍結の見方を給湯器でお湯が出ないときの確かめ方と修理か交換かの決め方にまとめています。この記事では、本当に壊れていたときの「お金と連絡」の話に絞ります。

契約書では、どこを確かめる?

民法の決まりは、契約で変えられる部分もあります。管理会社に連絡する前に、契約書と重要事項説明書で次の3か所を見ておくと、話がかみ合います。

1. 給湯器が「設備」として書かれているか

設備の一覧に給湯器があれば、貸主の設備として扱われます。一覧にない、または前の入居者が置いていった物と書かれているときは、誰が直すのかを管理会社に確かめます。

2. 修繕の条項と「小修繕」の別表

国土交通省の賃貸住宅標準契約書(契約書のひな形)では、第9条に修繕の決まりがあります。貸主が必要な修繕をすること、借主の責任による修繕は借主が払うこと、借主は修繕が必要な所を見つけたら貸主に知らせること、などです。そのうえで、ヒューズ、蛇口のパッキン、電球など費用が軽い修繕は、借主が自分で行えるとしています(国土交通省、2026年10月確認)。給湯器の故障はこの「費用が軽い修繕」の例には入っていません。

3. 「給湯器・風呂釜の修理は借主負担」という特約

特約(その契約だけの追加の決まり)で、設備の修理を借主負担としている契約もあります。ただ、国土交通省のガイドラインは、判例などでは、小さな修繕を借主負担とする特約は貸主の修繕義務を外す意味しか持たないとされている、と説明しています(国土交通省、2026年10月確認)。つまり「貸主は直さなくてよい」という意味にとどまり、借主に修繕の義務まで負わせるものではない、という考え方です。

愛知県の消費者トラブル事例には、「風呂釜とガスの修理は借主負担」と書かれた契約で、給湯器の交換費用を求められた相談があります。助言では、借主に故意・過失がなければ貸主に修繕義務があり、交換費用が多額になる場合は「大修繕」にあたる可能性があるとして、貸主側と費用負担を交渉するよう勧めています(愛知県、2026年10月確認)。特約があっても、すぐにあきらめる必要はありません。

管理会社には、どう連絡して何を伝える?

連絡先は、契約書や入居時の案内に書かれていることが多いです。夜間・休日の緊急窓口も見ておきます。連絡は次の順で進めます。

  1. エラー番号の表示と、給湯器本体の銘板(型式・製造年月が書かれた札)を写真に撮る
  2. 管理会社(いなければ大家さん)に電話する。つながらなければ留守電とメールの両方に残す
  3. 電話で話した内容は、あとでメールやメッセージでも送り、日時が残る形にする
  4. 修理に来る日、直るまでの見通し、それまでの間どうするかを聞く
  5. 直るまでの記録(連絡した日時、返事、業者が来た日、直った日)をメモに残す

国土交通省の相談対応事例集も、不具合を貸主に知らせるときは、日時や状況を書面にし、写真も残すよう勧めています(国土交通省、2026年10月確認)。下のチェックリストと文例は、そのまま書き写して使えます。

連絡前のチェックリスト(印刷・スクリーンショット用)

  • □ 部屋番号・名前・日中つながる電話番号
  • □ いつから、どんな症状か(お湯が全く出ない/ぬるい/お風呂だけ)
  • □ リモコンのエラー番号(写真)
  • □ 銘板の型式・製造年月(写真)
  • □ 自分で確かめたこと(電源・ガスメーター・凍結)
  • □ ガス臭い・水漏れ・異音・煙の有無
  • □ 業者が来てよい日と時間帯(候補を2〜3つ)
  • □ 契約書の修繕の条項と特約(ページの写真)
  • □ 連絡した日時と相手の名前のメモ

連絡の文例(メール・メッセージ用)

件名:給湯器の故障について(○○マンション○号室)

○○管理会社 ご担当者さま

○○マンション○号室の○○です。
○月○日○時ごろから、給湯器のお湯が出なくなりました。
・症状:台所・お風呂ともお湯が出ない
・リモコンの表示:エラー○○○
・型式/製造年月:○○○○/○○年○月(写真を添付します)
・確かめたこと:電源の入れ直し、ガスメーターの確認(異常なし)
・ガス臭さや水漏れ:なし

修理の手配をお願いできますでしょうか。
立ち会いできる日時は、○日の午前、○日の午後、○日の終日です。
修理までの見通しと、それまでの対応についても教えてください。

連絡先:090-○○○○-○○○○

文例では費用の話を先に書いていません。まず修理の手配を頼むと話が進みやすく、費用は契約書の条項を見ながら確かめます。

自分で業者を呼ぶ前に、何を確かめる?

給湯器は貸主の持ち物です。借りている人が勝手に手を加えることは、原則としてできません。2020年4月の民法改正で、借りている人が自分で修繕できる場合が607条の2に定められました。法務省の説明では、次のどちらかのときです(法務省、2026年10月確認)。

  • 修繕が必要だと貸主に知らせた(または貸主が知った)のに、相当の期間内に貸主が修繕しないとき
  • 急迫の事情(待っていられない差し迫った事情)があるとき

「相当の期間」が何日かは、法律に書かれていません。故障の中身や季節、部品の取り寄せにかかる日数などで変わります。管理会社が手配を進めているなら、待つのが基本です。返事がない、催促しても動かない、という記録があるかどうかが分かれ目になります。

条件を満たして自分で直したときは、貸主が払うべき費用(必要費)を、貸主に直ちに請求できます(民法608条1項、東京都住宅政策本部の資料で確認)。そのため、業者の見積書、作業内容が分かる明細、領収書を残します。

反対に、管理会社に知らせずにいきなり業者を呼ぶと、その費用を払ってもらえるかで争いになりやすくなります。訪ねてきた業者や電話で点検・交換を勧められても、その場で契約せず、管理会社に確かめます。困ったときは消費者ホットライン「188」に電話すると、地域の消費生活相談窓口を案内してもらえます(消費者庁、2026年10月確認)。

お湯が使えない間、家賃は減る?

民法611条1項は、借りている人の責任でない理由で部屋の一部が使えなくなったとき、家賃は使えなくなった部分の割合に応じて減額される、と定めています。国土交通省の標準契約書も、減額の程度や期間は貸主と借主が話し合って決めるとしています。

どのくらい減るかの決まった数字はありません。国土交通省の相談対応事例集には、2016年に管理業者へ行ったアンケートで集めた対応の例が載っています。お風呂が使えなかった例で、修繕まで3日で一時的に家賃を10%減らした例、14日で50%減らした例、2〜3日で銭湯代を渡した例などです(国土交通省、2026年10月確認)。ただし事例集は、紹介した例はあくまで参考で、減額の基準を決めるものではないとしています。自分の場合に同じ割合になるわけではありません。

東京都の資料は、設備が壊れたからといって家賃全額の支払いを止められるわけではない、と注意しています。家賃は通常どおり払い、減額や銭湯代の負担は、記録と領収書を見せながら話し合います。

話がまとまらないとき、相談の前に何を準備する?

管理会社が動かない、借主負担と言われて納得できない。そんなときは、消費生活センターや弁護士などの専門家に相談する方法があります。次のものをそろえておきます。

  • 契約書と重要事項説明書(修繕の条項・特約・設備の一覧のページ)
  • 故障の写真(エラー表示・銘板)
  • 連絡の記録(日時・相手・返事の内容。メールの控え)
  • 見積書・請求書・領収書(自分で払ったものがあれば)
  • お湯が使えなかった期間と、その間にかかった費用のメモ

修理か交換かの見通しがあると、管理会社の説明も分かりやすくなります。年数の数え方と目安は、給湯器でお湯が出ないときの確かめ方と修理か交換かの決め方を見てください。

よくある質問

Q. 夜や休日で管理会社に連絡がつきません。自分で業者を呼んでいい?

お湯が出ないだけなら、まず緊急窓口や留守電・メールに記録を残し、返事を待つのが基本です。ガス臭い・水が漏れ続けるなど危険があるときは、使うのをやめてガス会社や水道の止水で被害を止めます。自分で修理を頼むのは、急迫の事情があるときに限られると考えておきます。

Q. 業者が来たとき、出張費や点検費を請求されたら?

管理会社が手配した業者なら、支払いの扱いは管理会社に確かめます。自分の不注意が原因でなければ、その場で払う前に「費用は貸主負担のはず」と管理会社に伝えて確かめます。

Q. 入居して1か月で壊れました。前からの不具合でも自分の負担?

ふつうに使っていて壊れたなら、入居の長さにかかわらず、修繕は貸主の義務が原則です。入居時の写真があれば一緒に送ります。

Q. 修理がずっと先と言われました。家賃から修理代や銭湯代を引いて払ってもいい?

自分で決めた額を差し引いて払うと、家賃の不払いと受け取られるおそれがあります。家賃は払い、減額や費用の負担は書面で申し入れて話し合います。話がつかなければ、消費生活センターなどに相談します。

同じテーマで、あわせて確かめておくと判断しやすくなる記事です:給湯器のエラー表示はどうする?自分で確かめる番号と使用をやめる番号/給湯器の交換の目安は何年?年数と症状で点検・修理・交換を決める早見表

まとめ

  • 部屋の給湯器が古くなって壊れたら、直すのも払うのも原則は貸主(民法606条)
  • 借りている人の負担は、自分の使い方が原因のとき。小さな修繕の特約は、給湯器の交換まで含むとは限らない
  • 壊れたらすぐ管理会社に知らせる(民法615条)。写真と記録を残す
  • 自分で業者を呼べるのは、知らせても相当の期間直してくれないときか、急迫の事情があるとき(民法607条の2)。費用は見積書・領収書をそろえて請求する(民法608条)
  • お湯が使えない間の家賃は、使えない割合に応じて減る決まり(民法611条)。額は話し合いで、家賃は止めない

参考情報・出典

  • e-Gov 法令検索「民法(明治二十九年法律第八十九号)」第606条・第607条の2・第608条・第611条・第615条:https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
  • 法務省 民事局参事官室「2020年4月1日から賃貸借契約に関する民法のルールが変わります」(賃借物の修繕):https://www.moj.go.jp/content/001289628
  • 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」2011年8月:https://www.mlit.go.jp/common/000991391.pdf
  • 国土交通省「賃貸住宅標準契約書(平成30年3月版・連帯保証人型)」第9条・第12条・別表第4:https://www.mlit.go.jp/common/001479827.pdf
  • 国土交通省(賃貸借トラブルに係る相談対応研究会)「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集〜賃借物の一部使用不能による賃料の減額等について〜」2018年3月:https://www.mlit.go.jp/common/001230068.pdf
  • 東京都 住宅政策本部「賃貸物件の修繕及び原状回復に関するトラブルについて」:https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/juutaku_seisaku/pdf/tokyo_douga_2310_07.pdf
  • 愛知県「消費者トラブル事例【賃貸マンション】」2022年3月:https://www.pref.aichi.jp/kenmin/shohiseikatsu/example/pdfs/02_12_pro_rentalhousing.pdf
  • 消費者庁「消費者ホットライン」案内資料:https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/assets/local_cooperation_cms202_20260401_01.pdf

いずれも2026年10月25日に確認しました。個別の契約の内容や故障の原因によって、負担の結論は変わることがあります。お手元の契約書もあわせて確かめてください。

⚡ いま読まれているトレンド

→ トレンド記事をもっと見る
タイトルとURLをコピーしました