停電対策としてモバイルバッテリーを準備するとき、 「10,000mAhで足りる?」「20,000mAhなら何回スマホを充電できる?」 と迷う人は多いのではないでしょうか。
モバイルバッテリーの容量は「mAh」で表示されることが多いですが、 停電対策として考えるならWh(ワットアワー)で考えると必要な容量を比較しやすくなります。
この記事では、モバイルバッテリーのWhの考え方から、 スマートフォンを何回充電できるのか、停電時にはどのくらいの容量を準備すればよいのかまで分かりやすく解説します。
モバイルバッテリーの「Wh」とは?

Whは「ワットアワー」と読み、どれくらいの電力量を蓄えられるかを表す単位です。
例えば「40Wh」のバッテリーなら、理論上は40Wの機器を1時間動かせる電力量を持っているという意味になります。
スマートフォンやモバイルバッテリーでは「mAh」という表記の方がよく見られますが、 mAhだけでは電圧が分からないため、機器同士のエネルギー量を正確に比較しにくいという特徴があります。
そこで、停電対策ではmAhをWhに換算して考えると分かりやすくなります。
mAhからWhへ変換する計算式
Whは次の式で計算できます。
Wh = mAh × 電圧(V)÷ 1000
例えば、内部電池の電圧を3.7Vとして10,000mAhのモバイルバッテリーを計算すると、
10,000mAh × 3.7V ÷ 1000 = 37Wh
となります。
同じように計算すると、おおよその目安は次の通りです。
| モバイルバッテリー容量 | 3.7V換算の電力量 |
|---|---|
| 5,000mAh | 約18.5Wh |
| 10,000mAh | 約37Wh |
| 20,000mAh | 約74Wh |
| 30,000mAh | 約111Wh |
ただし、実際の商品では内部セルの電圧や容量表記の基準が異なる場合があります。 正確なWhは商品の仕様欄や本体表示を確認してください。
スマホ1回の充電には何Wh必要?
次に、スマートフォン側のバッテリー容量を考えます。
例えばバッテリー容量が5,000mAh、電池電圧を3.85Vとすると、
5,000mAh × 3.85V ÷ 1000 = 約19.25Wh
つまり、この例では0%から100%まで充電するために、 理論上は約19Whの電力量が必要になります。
4,000mAh程度のスマートフォンなら約15Wh前後、 5,000mAh程度なら約19Wh前後が一つの目安です。
ただし、モバイルバッテリーからスマートフォンへ充電するときには電力変換による損失が発生します。 そのため、モバイルバッテリーに37Wh蓄えられているからといって、その37Whをすべてスマートフォンに移せるわけではありません。
10,000mAhでスマホを2回充電できるとは限らない
「スマホが5,000mAhだから、10,000mAhのモバイルバッテリーなら2回充電できる」 と考えたくなりますが、実際にはそう単純ではありません。
充電時には、
- モバイルバッテリー内部での電圧変換
- USBケーブルでの損失
- スマートフォン側での充電損失
- モバイルバッテリー自身の消費電力
などが発生します。
そのため、防災目的で余裕を持って計算する場合は、 公称Whの70~80%程度を実際に使える電力量として考えると分かりやすいです。
スマホ充電回数の計算方法
大まかな充電回数は、次のように考えられます。
充電回数 = モバイルバッテリーのWh × 使用効率 ÷ スマホのWh
ここでは分かりやすく、使用効率を80%として計算してみます。
10,000mAhの場合
3.7V換算なら約37Whです。
37Wh × 0.8 = 約29.6Wh
29.6Wh ÷ 19.25Wh = 約1.5回
5,000mAhクラスのスマートフォンなら、 おおよそ1~1.5回程度が目安になります。
20,000mAhの場合
3.7V換算なら約74Whです。
74Wh × 0.8 = 約59.2Wh
59.2Wh ÷ 19.25Wh = 約3.1回
5,000mAhクラスのスマートフォンなら、 おおよそ3回前後のフル充電が期待できます。
30,000mAhの場合
3.7V換算なら約111Whです。
111Wh × 0.8 = 約88.8Wh
88.8Wh ÷ 19.25Wh = 約4.6回
5,000mAhクラスのスマートフォンなら、 4回以上の充電を狙える容量になります。
| 容量 | 約Wh | 実用容量を80%とした場合 | 5,000mAhスマホの充電目安 |
|---|---|---|---|
| 5,000mAh | 18.5Wh | 約14.8Wh | 約0.7回 |
| 10,000mAh | 37Wh | 約29.6Wh | 約1.5回 |
| 20,000mAh | 74Wh | 約59.2Wh | 約3回 |
| 30,000mAh | 111Wh | 約88.8Wh | 約4.5回 |
※実際の充電回数はスマートフォン、モバイルバッテリー、ケーブル、気温、バッテリー劣化などによって変わります。
停電対策なら何Wh準備すればいい?

必要な容量は、 「スマートフォンを何台、何日使いたいか」 から逆算するのが基本です。
例えば、5,000mAh程度のスマートフォンを1台使い、 1日あたりバッテリーを50%消費するとします。
スマホ1回分を約19Whとすると、50%なら約9.5Whです。
3日間なら、
9.5Wh × 3日 = 約28.5Wh
さらに充電ロスを考えると、40Wh前後以上のモバイルバッテリーが一つの目安になります。
つまり、スマートフォン1台を数日間維持する目的なら、 10,000~20,000mAhクラスが使いやすい容量です。
1人なら10,000~20,000mAhを目安に
1人でスマートフォン1台を使う場合、 短時間の停電対策なら10,000mAh程度でも対応できます。
ただし、停電が長引く可能性まで考えるなら、 20,000mAh前後を用意しておくと余裕が出ます。
1人分の目安:
短時間の停電 → 10,000mAh前後
1~3日程度を想定 → 20,000mAh前後
家族で使うなら必要容量は一気に増える
家族で複数台のスマートフォンを使う場合は、 必要なWhも台数に比例して増えていきます。
例えば5,000mAhクラスのスマートフォンを4台、 それぞれ1回ずつフル充電すると仮定します。
約19Wh × 4台 = 約76Wh
さらに充電ロスを考えると、 100Wh前後のエネルギーが必要になる可能性があります。
このレベルになると、小型モバイルバッテリーを1台だけ用意するよりも、 20,000mAhクラスを複数台用意する、またはポータブル電源を併用する方法も検討しやすくなります。
停電時は「100%まで充電しない」のも有効
長期停電では、スマートフォンを毎回100%まで充電する必要はありません。
例えば20%まで減ったら60~70%まで充電するなど、 必要最低限の充電に抑えることでモバイルバッテリーを長持ちさせられます。
停電時には動画視聴やゲームなどを控え、
- 画面の明るさを下げる
- 低電力モードを使う
- 不要なBluetoothやGPSを切る
- バックグラウンド通信を減らす
- 必要のない時間は機内モードを利用する
といった節電も重要です。
同じ20,000mAhのモバイルバッテリーでも、 スマートフォン側の消費電力を抑えることで利用できる期間を伸ばせます。
容量だけでなく充電端子も確認する
停電対策用のモバイルバッテリーを選ぶときは、容量だけを見るのではなく、 接続端子も確認しておきましょう。
USB-C対応機器が増えているため、 USB-C出力に対応した製品ならスマートフォンだけでなく、 対応するタブレットなどにも使いやすくなります。
家族で使用する場合は複数ポートがあると、 複数台を順番に充電しやすくなります。
モバイルバッテリー自体を満充電にしておくことも重要
大容量のモバイルバッテリーを購入しても、 停電発生時に残量が20%しかなければ十分に活用できません。
防災用として保管する場合は、定期的に残量を確認しましょう。
また、長期間まったく使わないのではなく、 メーカーが案内する保管方法や充電方法を確認しながら管理することも大切です。
停電対策で考えたい容量の目安
| 利用状況 | 容量の考え方 |
|---|---|
| 外出時の予備 | 5,000~10,000mAh程度 |
| 1人・短時間停電 | 10,000mAh前後 |
| 1人・数日間 | 20,000mAh前後 |
| 家族・複数スマホ | 20,000mAh級を複数台、またはポータブル電源も検討 |
あくまで目安なので、 実際にはスマートフォンの台数・バッテリー容量・想定する停電日数から計算するのがおすすめです。
必要なWhは「スマホのWh × 必要充電回数」から考える
停電用のモバイルバッテリーを選ぶときに重要なのは、 単純に「一番mAhが大きい商品を選ぶ」ことではありません。
まずスマートフォンのバッテリー容量をWhに換算し、 何回分の充電を確保したいかを考えます。
そのうえで充電時の損失を加味します。
停電対策の基本計算
スマホのWh × 必要な充電回数 ÷ 0.7~0.8
これをモバイルバッテリーに必要なWhの目安として考えます。
例えば約19Whのスマートフォンを3回充電したい場合、
19Wh × 3回 ÷ 0.8 = 約71Wh
となるため、74Wh前後に相当する20,000mAhクラスが一つの目安になります。
まとめ
モバイルバッテリーを停電対策として選ぶ場合は、 mAhだけでなくWhで考えると必要容量を判断しやすくなります。
容量は次の式でおおよその目安を計算できます。
Wh = mAh × 電圧(V)÷ 1000
さらに、実際の充電では変換ロスがあるため、 モバイルバッテリーの公称容量をそのまま全部使えるわけではありません。
5,000mAhクラスのスマートフォンを想定した場合、 10,000mAhのモバイルバッテリーなら約1~1.5回、 20,000mAhなら約3回程度が一つの目安です。
停電対策では「何mAhの商品を買うか」から考えるのではなく、 何台のスマートフォンを何日間維持したいのかから必要なWhを逆算してみてください。


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