〜暮らしの落書き帳〜

賃貸の退去時クリーニング代を確認する方法|特約・二重請求・内訳の見方

空室の部屋の写真に、契約書類と虫眼鏡を重ねた「退去時クリーニング代を確認」のアイキャッチ 生活トラブル

本記事は一般的な確認手順を整理するもので、個別の契約の有効性や法的結論を判断するものではありません。

賃貸住宅の退去時に「クリーニング代が高い」「入居時にも払ったのに、退去時にも請求された」と感じたら、金額だけを見るのではなく、契約書・入居時の支払い・退去時の請求を同じ対象範囲で並べて確認します。

国民生活センターによると、賃貸住宅の原状回復に関する相談は2025年度に14,711件登録され、2026年度も5月31日までに1,846件登録されています。最近の事例には、入居時にルームクリーニング代を支払った際に退去時は不要と説明されたのに、退去時にも請求されたケースが含まれます。

最初に確認する3点

  1. 契約書・重要事項説明書・特約に、負担内容と範囲が書かれているか
  2. 入居時と退去時、または複数の請求項目で同じ清掃範囲が重なっていないか
  3. 項目、対象範囲、数量、単価、作業内容などの内訳が分かるか

退去時クリーニング代を確認する前にそろえるもの

確認の途中で資料を探し直さないように、最初に次の6種類をそろえます。

契約書や見積書など退去時クリーニング代を確認する前にそろえる6種類の資料の図解
  1. 賃貸借契約書
  2. 重要事項説明書・特約・入居のしおり
  3. 入居時の初期費用明細と領収書
  4. 退去時の見積書・精算書・請求書
  5. 入居時と退去時の写真・動画
  6. 管理会社や貸主とのメール・メッセージ・立会い記録
資料確認する欄書き出す内容
契約書・特約原状回復、清掃、退去時費用対象、負担者、金額、算定方法
入居時明細ルーム清掃、エアコン清掃、消毒支払日、項目、金額、説明
退去時請求清掃に関する全項目部位、数量、単価、合計、業者
写真・連絡記録入居時と退去時の状態撮影日、場所、相手の説明

原状回復の基本とクリーニング特約は分けて考える

国土交通省のガイドラインでは、通常の使用による損耗や年月の経過による変化と、借主の故意・過失などによる損傷を分けて考えます。ただし、契約にクリーニング特約がある場合は、その内容も確認が必要です。

「特約があるから必ず全額負担」「通常損耗だから特約は必ず無効」のどちらかに決めつけず、契約内容と説明、請求範囲を照合してください。

国土交通省Q&Aは、クリーニング特約について主に次の点から有効性が判断されると説明しています。

  1. 借主が負担する内容と範囲が示されているか
  2. 通常損耗分も負担する趣旨と具体的範囲が明記または説明されているか
  3. 費用として妥当か

これは確認の観点であり、チェックだけで個別契約の有効・無効を決められるわけではありません。判断に迷う場合は消費生活センターや専門家へ相談します。

クリーニング特約の確認表

負担者や対象範囲、金額などクリーニング特約の確認表
確認点見る場所記録すること
負担者契約書・特約貸主/借主のどちらと書かれているか
対象範囲特約・清掃項目部屋全体、台所、浴室、エアコンなど
金額特約・初期費用・請求書定額、単価、面積連動、税の有無
説明重要事項説明・メールいつ、誰から、どのような説明を受けたか
作業内容見積書・請求書実施内容、数量、施工・清掃会社

入居時と退去時、複数項目の重なりを確認する

同じ名称が2回出ているだけで、直ちに不当請求と断定はできません。入居前清掃と退去後清掃で作業時期が違う場合や、室内清掃とエアコン清掃で対象が違う場合があるためです。

一方で、国民生活センターは2026年2月17日の注意喚起で、入居時と退去時の両方にエアコンクリーニング代を請求された相談事例を紹介しています。次の表を使い、名称ではなく対象と時期を横並びにします。

請求項目時期対象範囲金額確認事項
入居時清掃費契約・入居時室内全体/不明明細の金額退去時分を含む説明だったか
退去時清掃費退去後室内全体/不明請求書の金額特約の範囲と一致するか
エアコン清掃入居時・退去時台数と機種各回の金額同じ対象を誰が負担する契約か
個別清掃項目退去後浴室・台所など項目別金額定額清掃費に含まれないか

確認のコツ:「二重請求です」と先に断定せず、「入居時に支払った○○円と、今回の○○円は、それぞれどの時期・範囲の作業費でしょうか」と事実を質問します。

内訳が分からないときに確認する項目

「クリーニング一式」のように内容が分からない場合は、次の単位で説明を依頼します。

  • 請求項目名
  • 対象の部屋・部位・設備
  • 面積・台数・数量
  • 単価と計算方法
  • 具体的な作業内容
  • 契約書・特約上の根拠
  • 入居時に支払った費用との違い
  • 清掃・施工会社の見積書や明細の有無

国土交通省Q&Aでも、費用は資材や施工方法などにより物件ごとに異なるため、疑問がある点は貸主や管理会社へ内容の内訳を確認することが考えられるとされています。インターネット上の相場だけで結論を出さず、まず自分の契約と請求の根拠を確認します。

管理会社へ送る短い確認文

最初の連絡は、感情的な表現や法的結論を避け、確認したい事実を番号で示します。

退去費用の精算書を確認しております。お手数ですが、次の点をご教示ください。

1.「室内クリーニング費」の対象範囲と作業内容
2.契約書・特約の該当箇所
3.数量、単価、算定方法が分かる内訳
4.入居時に支払った清掃費との対象・時期の違い

確認後に回答したいため、可能であれば書面またはメールでお願いいたします。

状況別の件名、期限の書き方、添付資料の示し方は、賃貸退去費用の問い合わせメール例文で詳しくまとめています。

クリーニング代以外も含めて退去費用全体を確認したい場合は、賃貸の退去費用が高いと感じたときの確認方法も参照してください。

やり取りと証拠を時系列で保存する

電話だけで終わらせず、できるだけメールや書面でも確認内容を残します。次の順に並べると、相談時にも説明しやすくなります。

  1. 契約時:契約書、特約、重要事項説明、初期費用明細
  2. 入居時:写真、動画、設備確認、清掃状態
  3. 居住中:不具合の連絡、修繕履歴
  4. 退去時:立会い記録、写真、署名した書類
  5. 請求後:見積書、精算書、質問、相手の回答

原本は加工せず保存し、提出用のコピーを作ります。個人情報を隠す場合でも、元データは別の安全な場所へ残してください。

ガイドラインで見る「貸主負担」と「借主負担」の例

請求書の項目が妥当かを考えるときは、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(2011年8月公表)が目安になります。ガイドラインの別表には、よくある汚れやキズについて、どちらが負担すると考えられるかの例がまとめられています。下の表は、その中から退去時のクリーニング代と関係の深い項目を抜き出したものです。

項目ガイドラインでの扱い借主の負担になりうる場合
部屋全体のハウスクリーニング(専門業者)借主が通常の清掃をしていれば貸主負担通常の清掃をしていない場合、その部位や住戸全体の清掃費用相当分
エアコンの内部洗浄貸主負担喫煙などの臭いが付いている場合
台所・トイレの消毒貸主負担ガイドラインの例では示されていない
壁のタバコのヤニ・臭い下の場合は借主負担の例喫煙でクロスがヤニで変色したり、臭いが付いたりした場合
台所の油汚れ手入れをしていれば通常の範囲清掃や手入れを怠って汚れた場合
結露を放置したカビ・シミ手入れをしていれば通常の範囲拭き取りなどを怠り、壁などを傷めた場合
冷蔵庫・テレビ裏の黒ずみ(電気ヤケ)貸主負担ガイドラインの例では通常の損耗
家具の設置による床のへこみ貸主負担ガイドラインの例では通常の損耗
画鋲・ピンの穴貸主負担下地の張り替えが要るほどの釘穴・ネジ穴
鍵の取り替え破損や紛失がなければ貸主負担鍵をなくした場合
ペットによるキズ・臭い借主負担柱やクロスにキズが付いたり臭いが付いたりした場合

表のとおり、ガイドラインでは「部屋全体のハウスクリーニング」や「エアコンの内部洗浄」は、次の人を迎えるための費用として貸主負担の例に入っています。一方で、同じ汚れでも、手入れを怠ったり、喫煙やペットで広く汚れたりした場合は、借主の負担とされる例があります。請求書に「クリーニング」とだけ書かれているときは、どの部分の、どんな汚れに対する費用なのかを分けて考えると整理しやすくなります。

なお、ガイドラインは「一般的な基準」をまとめたもので、国土交通省は法的な拘束力を持つものではないと書いています。契約書に特約があれば、その内容と合わせて判断することになります。借主の負担になる場合も、壁のクロスのように年数がたつと価値が下がる物は、ガイドラインでは経過年数を考えて負担割合を決める考え方が示されています(クロスは6年で残存価値1円となるように算定)。

借主に特別な負担を求める特約の3つの要件

契約書に「退去時のクリーニング費用は借主負担」といった特約があると、ガイドラインの原則とは違う負担になることがあります。ただ、特約なら何でも有効というわけではありません。ガイドラインは、通常の原状回復を超える負担を借主に課す特約について、次の3つの要件を挙げています。

  1. 特約の必要があり、暴利的でないなど、客観的・合理的な理由があること
  2. 借主が、特約によって通常の原状回復義務を超える修繕などの義務を負うことを認識していること
  3. 借主が、特約による義務の負担について意思表示をしていること

東京都の「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」(第4版)の概要ページでも、同じ3つの要件が紹介されています。東京都では、条例により、宅地建物取引業者が契約前に「原状回復の基本的な考え方」や「実際の契約における借主の負担内容」などを書面で説明することになっています。東京都内の物件なら、契約時に受け取った説明書類も手元にそろえておくと、特約の説明があったかを確かめやすくなります。

国土交通省のガイドラインQ&Aでは、クリーニング特約の有効性を考える観点として、負担の内容や範囲が示されているか、通常の損耗も負担する趣旨が書かれ説明されているか、費用が妥当か、といった点が挙げられています。また、消費者契約法第10条は、消費者の利益を一方的に害する条項を無効とする規定です。特約が有効かどうかの最終的な判断は個別の事情によるため、迷うときは下で紹介する相談窓口を使いましょう。

退去立ち会い当日のチェックリスト

退去の立ち会いは、請求の内容が決まる大事な場面です。国土交通省のガイドラインは、入居時と退去時にチェックリストを作り、当事者が立ち会って確認することや、写真などを併せて使うことを勧めています。国民生活センターも2026年2月17日の注意喚起で、できるだけ貸主側と一緒に、写真やメモで記録を残しながら確認するよう呼びかけています。当日は次の項目を確かめます。

  • 荷物をすべて運び出し、ふだんの掃除を済ませてから立ち会う
  • 入居時の確認書・写真と、契約書・重要事項説明書を持参する
  • 指摘された汚れやキズは、その場で場所と程度を一緒に確認し、写真を撮る
  • 「入居時からあった」「通常の使用による」と考える箇所は、その場で伝えてメモに残す
  • クリーニング代・修繕費の見込み額と、その根拠を聞く
  • 確認書へのサインを求められたら、内容を読み、納得できない項目は保留したいと伝える
  • 確認書の控え(写し)をもらうか、撮影しておく
  • 精算書がいつ、どの方法で届くのかを聞いておく
  • 鍵の返却本数を確認し、記録を残す

ガイドラインのQ&Aには、立ち会いで損傷の確認にサインした後に高額な請求が来たという質問があります。回答では、借主の故意・過失などによらない損傷の分まで負担する必要はないとしつつ、確認は慎重に行うよう書かれています。その場で急いでサインせず、内容を確かめる時間を取ることが大切です。

敷金精算書を受け取ってからの流れ

退去後、敷金から差し引く金額を書いた精算書(明細書)が届きます。国土交通省のガイドラインには「原状回復の精算明細書」の様式の例も載っています。届いたら、次の順に確認していきます。

  1. 精算書の項目を、立ち会いの記録・写真と一つずつ照らし合わせる
  2. 各項目を、上の表で「貸主負担の例」と「借主負担になりうる例」に分けてみる
  3. 借主負担とされた項目は、経過年数を考えた負担割合になっているかを見る
  4. 根拠が分からない項目は、書面やメールで明細と説明を求める
  5. 回答を保存し、納得できない点が残れば相談窓口に相談する

ガイドラインのQ&Aでは、敷金の返還請求は、契約で別の定めがなければ、建物を明け渡した後にできるとされています。今回確認した国土交通省の資料には、精算書が届くまでの日数や返還までの期限について、一律の目安は書かれていません。まずは契約書に返還時期の定めがあるかを確認し、決まっていなければ、いつまでに精算書を送ってもらえるかを問い合わせておくと安心です。

精算書が届かない場合について、同じQ&Aでは、借主は貸主に明細を請求して説明を求めることができ、貸主は差し引く費用の具体的な根拠を示す必要がある、と書かれています。国民生活センターのまとめでは、賃貸住宅の原状回復トラブルの相談は2025年度に14,711件寄せられています(2026年7月31日更新のページによる)。話し合いで解決しないときは、消費者ホットライン「188」で近くの消費生活センターを案内してもらえます。60万円以下の金銭の支払いを求める場合は、原則1回の審理で解決を目指す裁判所の「少額訴訟」という手続きもあります。

説明を受けても解決しないとき

納得できない点が残る場合は、契約書、請求書、写真、やり取りの記録をそろえて、消費生活センターなどへ相談します。消費者ホットライン「188」は、最寄りの消費生活センター等を案内する全国共通の3桁番号です。

相談前に「契約ではどう書かれているか」「何をいつ支払ったか」「今回何を請求されたか」「どの説明が不足しているか」を1枚にまとめておくと、経緯を伝えやすくなります。

よくある質問

入居時にクリーニング代を払ったのに、退去時にも請求されました。

名前が同じでも、作業の時期や対象が違う場合があります。「入居時に払った費用と今回の費用は、それぞれどの時期・範囲の作業か」を事実として質問し、内訳を書面やメールで確かめましょう。

クリーニング特約があれば、全額払う必要がありますか?

特約があるから必ず全額負担、とは限りません。国土交通省のQ&Aでは、負担の内容と範囲が示されているか、通常の損耗も負担する趣旨が書かれ説明されているか、費用が妥当か、といった点から有効性が判断されるとされています。

立ち会いで確認書へのサインを求められたら?

内容を読み、納得できない項目は保留したいと伝えます。サインした場合も、確認書の控えをもらうか撮影しておきましょう。

話し合っても解決しないときの相談先は?

契約書、請求書、写真、やり取りの記録をそろえて、消費生活センターなどへ相談します。消費者ホットライン「188」に電話すると、最寄りの窓口を案内してもらえます。

まとめ

退去時のクリーニング代を確認するときは、金額だけでなく、契約上の負担内容、清掃の対象範囲、入居時の支払い、退去時請求の内訳を横並びにします。

  • 契約書・特約の負担内容と範囲を確認する
  • 入居時と退去時の清掃費を照合する
  • 定額清掃費と個別項目の対象が重ならないか確認する
  • 数量、単価、作業内容、算定根拠の内訳を依頼する
  • 断定せず、確認事項を番号で質問する
  • 解決しない場合は資料をそろえて公的窓口へ相談する

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参考情報

記事内の公的情報は2026年8月10日時点で確認しています。制度や案内は更新されることがあるため、最新情報は各公式ページで確認してください。

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